栄養摂取の早期自立

術前絶飲食に関する文献

タイトル
(日本語)
腹腔鏡大腸手術後の早期離床・経口摂取リハプログラムと従来ケアの比較:ランダム化比較試験
タイトル
(英語)
Comparison of early mobilization and diet rehabilitation program with conventional care after laparoscopic colon surgery: a prospective randomized controlled trial.
著者名 Lee TG, Kang SB, Kim DW, Hong S, Heo SC, Park KJ.
雑誌名、巻:頁 Dis Colon Rectum. 2011; 54: 21-28.
目的 腹腔鏡大腸切除術で早期離床・経口摂取リハプログラムの有効性を検証したランダム化比較試験がないため、その有効性を検証する。
研究デザイン randomized controlled trial
エビデンス
レベル
治療環境・
施設名
大学病院、韓国
対象患者 大腸腫瘍で腹腔鏡大腸切除術を受けた患者100人(97人腺癌、2人粘膜下脂肪腫、1人リンパ腫)
介入 早期離床(手術日:1時間以上座位、翌日:3時間以上座位、400m以上病棟歩行)・経口摂取(手術日:水分摂取1L以内、翌日:半流動体の食事摂取1L以上)
主要評価項目
(定義)
回復期間(24時間安定した食事摂取・安全な移動・鎮痛剤不要・発熱なしを満たすまでの期間)
統計学的手法 Wilcoxon rank-sum test
結果 回復期間の中央値(25%値、75%値)は介入群4(3-5)日、対照群6(5-7)日と統計学的有意差あり
結論 腹腔鏡大腸切除術後の早期離床・経口摂取リハプログラムは、回復期間を短縮させる
コメント 術後入院期間の中央値は介入群7(6-8)日、対照群8(7-9)日と有意差なし(p=0.065)
作成者 若林秀隆
タイトル
(日本語)
大腸がん手術のプレハビリテーションのランダム化比較試験
タイトル
(英語)
Randomized clinical trial of prehabilitation in colorectal surgery.
著者名 Carli F, Charlebois P, Stein B, Feldman L, Zavorsky G, Kim DJ, Scott S, Mayo NE.
雑誌名、巻:頁 Br J Surg. 2010; 97: 1187-97.
目的 大腸がん待機手術前のプレハビリテーションについて、2つのプログラムのどちらがより有効かを検証する。
研究デザイン randomized controlled trial
エビデンス
レベル
治療環境・
施設名
大学病院、カナダ
対象患者 大腸がんで待機手術前の患者112人
介入 介入群は自転車(エルゴメーター)+筋力トレーニングの回復強化プログラム。対照群は1日30分以上の歩行の促し+呼吸訓練。
主要評価項目
(定義)
6分間歩行テストの歩行距離
統計学的手法 t test
結果 歩行能力の平均値はprehabilitation期間、術後とも両群で有意差なし。ベースライン、手術前、手術後の平均歩行距離は介入群474.3m、463.6m、439.8m、対照群は494.1m、502.8m、481.9m。歩行能力が改善した割合は手術前で対照群47%、介入群22%(P=0.051)、手術後で対照群41%、介入群11%(P=0.019)と、対照群のほうが高かった。
結論 大腸がん待機手術前のプレハビリテーションは、1日30分以上の歩行の促し+呼吸訓練のほうが歩行能力が改善する割合が高い。
コメント 介入群でアドヒアランスが低かったことが、今回の結果と関連している可能性がある。
作成者 若林秀隆
タイトル
(日本語)
大腸がん手術のプレハビリテーションによる手術前の身体機能変化が手術後の回復に与える影響
タイトル
(英語)
Impact of preoperative change in physical function on postoperative recovery: argument supporting prehabilitation for colorectal surgery.
著者名 Mayo NE, Feldman L, Scott S, Zavorsky G, Kim do J, Charlebois P, Stein B, Carli F.
雑誌名、巻:頁 Surgery. 2011; 150(3): 505-514.
目的 大腸がん手術のプレハビリテーションによる身体機能が改善、および手術前の身体機能変化が手術後の回復に与える影響を調査する。
研究デザイン randomized controlled trialの再分析(介入群、対照群を一緒に分析)
エビデンス
レベル
治療環境・
施設名
大学病院、カナダ
対象患者 大腸がんで待機手術前の患者112人
介入 介入群は自転車(エルゴメーター)+筋力トレーニングの回復強化プログラム。対照群は1日30分以上の歩行の促し+呼吸訓練。この論文では介入群、対照群を一緒に分析。
主要評価項目
(定義)
6分間歩行テストの歩行距離の変化(20m以上の増加で改善、20m以上の減少で悪化、他は不変)
統計学的手法 t test
結果 手術前は33%が改善、38%が不変、29%が悪化した。手術後(平均9週)は手術前に改善した群ほどさらに歩行能力が改善した(手術後の改善率:改善群77%、不変群59%、悪化群32%)。
結論 大腸がん手術のプレハビリテーションで手術前に身体機能が改善すると、手術後も改善しやすい。
コメント この論文では介入群、対照群を一緒に分析しており、対照群がないためレベルⅤとした。
作成者 若林秀隆
タイトル
(日本語)
高齢者に対する周術期の運動療法
タイトル
(英語)
Perioperative exercise training in elderly subjects.
著者名 Jack S, West M, Grocott MP
雑誌名、巻:頁 DBest Pract Res Clin Anaesthesiol. 2011; 25(3): 461-472.
目的 高齢者に対する周術期運動療法(術前のプレハビリテーションと術後のリハビリテーション)のエビデンスを検証する。
研究デザイン systematic review
エビデンス
レベル
治療環境・
施設名
多施設
対象患者 さまざまな疾患で周術期の運動療法を行った患者
介入 術前のプレハビリテーションおよび術後のリハビリテーション
主要評価項目
(定義)
身体機能、呼吸機能など
統計学的手法 元の論文によりさまざま。メタ分析は行っていない。
結果 プレハビリテーションは術前の体力を改善させるが、術後の外科的予後を改善させるかどうかは不明。術前の呼吸筋の筋トレは、無気肺など術後の呼吸器合併症を予防させるが、全体の外科的予後を改善させるかどうかは不明。がん患者への術後のリハビリテーションは身体活動、疲労、QOLを改善させるが、生存期間を改善し再発時期が遅くなるかどうかは不明。
結論 周術期の運動療法は有用であるが、外科的予後(生存率など)を一次アウトカムとしたRCTが必要。
コメント systematic reviewの対象はrandomised controlled trials, systematic reviews and meta-analysesの論文であったので、レベルⅠとした。
作成者 若林秀隆
タイトル
(日本語)
肺がん患者の肺葉切除術4時間後の歩行による早期離床
タイトル
(英語)
Early postoperative mobilization with walking at 4 hours after lobectomy in lung cancer patients.
著者名 Kaneda H, Saito Y, Okamoto M, Maniwa T, Minami K, Imamura H.
雑誌名、巻:頁 Gen Thorac Cardiovasc Surg. 2007; 55(12): 493-498.
目的 肺がん患者の肺葉切除術4時間後の歩行開始が、術後翌日の歩行開始と比較して安全かどうかを検証する。
研究デザイン Non randomized, contemporaneous controls
エビデンス
レベル
治療環境・
施設名
大学病院、日本
対象患者 肺葉切除術を受けた肺がん(除く小細胞がん)患者86人。4時間後歩行開始群は36人。
介入 肺葉切除術4時間後の歩行開始
主要評価項目
(定義)
術後の合併症(安全性)
統計学的手法 t test, chi-squared test
結果 転倒や胸腔ドレーンのトラブルは両群とも0件。
結論 肺葉切除術4時間後の歩行開始は安全である。
コメント 4時間後歩行開始群では67%が酸素療法を2日以内に終了したが、翌日歩行開始群では34%のみ2日以内に終了。
作成者 若林秀隆