生体侵襲反応の軽減
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術中麻酔方法に関する文献
タイトル (日本語) |
待機的腹式子宮摘出術における麻酔管理レジメの評価 |
タイトル (英語) |
Postoperative recovery profile after elective abdominal hysterectomy: a prospective, observational study of a multimodal anaesthetic regime. |
著者名 | Jensen K, Kehlet H, Lund CM. |
雑誌名、巻:頁 | Eur J Anaesthesiol. 2009 May;26(5):382-8. |
目的 | 待機的腹式子宮摘出術において主にPONVの予防に主眼をおいた麻酔管理のレジメを作成した。実施したレジメを術後回復室における記録から後ろ向きに検討する |
研究デザイン | retrospective study |
エビデンス レベル |
Ⅲ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Anaesthesiology and Intensive Care, Acute Pain Service 530, Hvidovre University Hospital, Copenhagen, Denmark |
対象患者 | デンマークの主要な大学病院で待機的腹式子宮摘出術を麻酔管理をレジメ通りに受けた患者145名 |
介入 | 術中麻酔管理のレジメを適応する(レジメは過去のevidenceに基づきPONV予防に主眼) |
主要評価項目 (定義) |
レジメの順守率、術後疼痛、PONV,術後酸素の必要性、退室までの時間 |
統計学的手法 | 対応のない検定他 |
結果 | レジメは(対象とした症例のうち90%以上で実施):全静脈麻酔(プロポフォール+レミフェンタニル)、計画的輸液(過不足なく)、制吐剤の予防的使用(術中からステロイド、抗セロトニン剤、どドロペリドール)、硬膜外鎮痛と鎮痛剤(NSAIDS,セレコキシブ、パラセタモール)の併用 この麻酔法で:追加の麻薬は64%の症例で必要なかったが25%の症例で激しい痛みを経験 酸素化を維持するために半数の症例が術後1時間以上酸素投与が必要、PONVは8% 痛みやPONVなどの苦痛に対して何らかの治療が必要だったのは52% |
結論 | 本研究で実施した麻酔管理のレジメは広く使用できる。しかし、術後回復室に在室する時間がながくなる要因がまだ残り改善の余地(麻薬の使用を減らし酸素投与の必要時間を短縮)がある。 |
コメント | レミフェンタニルとプロポフォールを使用した全静脈麻酔でもPONVの抑制は通常はどんなにがんばっても20%以下にはできないと言われていた。しかし、このレジメで行えば8%にまで低減できる。女性でPONVが出現しやすい症例にも活用できる方法である。ただし、日本では術中使用に制限のある薬剤が使用されている点に注意が必要。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
待機的腹腔鏡下胆摘術患者におけるエビデンスに基づいて作成された麻酔レジメの評価 |
タイトル (英語) |
Post-operative recovery profile after laparoscopic cholecystectomy: a prospective, observational study of a multimodal anaesthetic regime. |
著者名 | Jensen K, Kehlet H, Lund CM. |
雑誌名、巻:頁 | Acta Anaesthesiol Scand. 2007 Apr;51(4):464-71. |
目的 | 待機的腹腔鏡下胆摘術患者において主に術後疼痛とPONVの予防に主眼をおいた麻酔管理のレジメを作成した。実施したレジメを術後回復室における記録から後ろ向きに検討する |
研究デザイン | retrospective study |
エビデンス レベル |
Ⅲ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Anaesthesiology and Intensive Care, Hvidovre University Hospital, Hvidovre, Denmark |
対象患者 | 134名の待機的腹腔鏡下胆摘術患者 |
介入 | 術中麻酔管理のレジメを適応する(レジメは過去のevidenceに基づき術後疼痛とPONV予防に主眼) |
主要評価項目 (定義) |
レジメの順守率、術後疼痛、PONV,術後酸素の必要性、退室までの時間 |
統計学的手法 | 対応のない検定他 |
結果 | レジメは(80%で実施):全静脈麻酔(プロポフォール+レミフェンタニル)、計画的輸液(過不足なく)、制吐剤の予防的使用(術中からステロイド、抗セロトニン剤、どドロペリドール)、硬膜外鎮痛と鎮痛剤(NSAIDS,セレコキシブ、パラセタモール)の併用 この麻酔法で:13%の症例で激しい痛みを経験、46分間の術後酸素投与が必要、PONVは11%、重症のPONVは2%、男性ではPONVのコントロールはこのレジメでも有効 |
結論 | 術後回復室の滞在時間は、呼吸機能(酸素必要時間)、疼痛とPONVが影響している |
コメント | 前論文⑩と同様の著者が同じプロトコールで対象疾患を変えて行った研究。男性が対象に入ったこと、術式が違うこと、胆摘では歩行入退室でさらに入室時間、入院時間が短いことである。結果も課題も、全研究と同様である。この二つの研究で用いられたレジメがこの程度のストレスに対する麻酔としては良いのであろうと思われる。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
術後早期の胃排出に及ぼす麻酔方法の影響(全静脈麻酔と麻薬不使用の吸入麻酔) |
タイトル (英語) |
The effect of anesthetic technique on early postoperative gastric emptying: comparison of propofol-remifentanil and opioid-free sevoflurane anesthesia. |
著者名 | Walldén J, Thörn SE, Lövqvist A, Wattwil L, Wattwil M. |
雑誌名、巻:頁 | J Anesth. 2006;20(4):261-7. |
目的 | 術後の経口摂取開始時間に影響に関係する胃排出時間に、麻酔方法がどのように影響を及ぼしているのかを検討する |
研究デザイン | 前向き比較対象試験 |
エビデンス レベル |
Ⅲ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Anesthesia, Sundsvall Hospital, 851 86, Sundsvall, Sweden |
対象患者 | 50名の待機的腹腔鏡下胆摘術患者、25名が全静脈麻酔、25名が麻薬なしの吸入麻酔 |
介入 | 麻酔方法 |
主要評価項目 (定義) |
胃排出時間(アセトアミノフェン法) リカバリールーム到着後NGチューブよりparacetamol1.5gを注入し、2時間追跡する |
統計学的手法 | 対応のない検定、マンホイットニーU検定 |
結果 | 11例が開腹になったり、採血ができない状況でdrop.Gastric emptying parameters were (mean +/- SD): TIVA, AUC60, 2458 +/- 2775 min.micromol.l(-1); Cmax, 71 +/- 61 micromol.l(-1); and Tmax, 81 +/- 37 min; and GAS, AUC60, 2059 +/- 2633 min.micromol.l(-1); Cmax, 53 +/- 53 micromol.l(-1); and Tmax, 83 +/- 41 min.となり、両群で差は認められなかった。 |
結論 | 麻酔方法により術後の胃排出時間に違いは認められなかった。麻酔方法以外の因子に、違いがある可能性がある。症例数のパワー不足もある。 |
コメント | 健常人でも著者たちは同じ研究をしたらしく、そのデータと比べて両群とも胃排出時間が明らかに遅延していることを示していた。やはり、過剰水分や手術ストレスが大きく影響して、麻酔管理だけではどうにもできない部分なのであろうか?胃排出の回復を早くするテクニックを追及する必要がもっとありそうである。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
ファストトラックサージャリ―における麻酔科医の役割 |
タイトル (英語) |
The Role of the Anesthesiologist in Fast-Track Surgery: From Multimodal Analgesia to Perioperative Medical Care |
著者名 | Paul F. White, et al. |
雑誌名、巻:頁 | Anesth Analg 2007;104:1380-96 |
目的 | 周術期の安全性と効率性を上げる工夫も麻酔領域で重要になってきている。ファストトラックにおける麻酔科の役割を検討する |
研究デザイン | review |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Anesthesiology and Pain Management, University of Texas Southwestern Medical Center at Dallas, Texas; |
対象患者 | 手術全般 |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
術前(前投薬、絶飲食)術中(疼痛対策、体温管理、血糖管理、麻酔方法)術後(PONV,栄養管理、疼痛管理) |
統計学的手法 | systematic review |
結果 | 前投薬、PONVや疼痛の予防的薬剤の投与、臓器機能を維持するために必要な薬剤を投与するなど、麻酔科医はファストトラックサージャリ―におけるkey personである。 |
結論 | 麻酔科医はファストトラックサージャリ―におけるkey personである |
コメント | 術後回復能力強化プログラムにおける麻酔管理の総論で、簡潔にこれまでのevidenceがまとまっており役に立つ論文。ただ、吸入麻酔やレミフェンタニルに関しては日本よりも古い知見。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
小児心臓手術におけるレミフェンタニルのストレス抑制に関して |
タイトル (英語) |
Effect of remifentanil infusion rate on stress response to the pre-bypass phase of paediatric cardiac surgery |
著者名 | N. K. Weale, et al. |
雑誌名、巻:頁 | British Journal of Anaesthesia 92 (2): 187-94 (2004) |
目的 | 小児の心臓外科手術においてレミフェンタニル麻酔によるストレスホルモンへの影響を検討する |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Ⅱ |
治療環境・ 施設名 |
University Department of Anaesthesia and 2Bristol Heart Institute, Bristol Royal In®rmary, Upper Maudlin Street, Bristol BS2 8HW, UK. |
対象患者 | 5歳以下49名の心臓血管手術予定患者 |
介入 | レミフェンタニルの維持量を0.25, 1.0, 2.5, または5.0γにする |
主要評価項目 (定義) |
手術後の各時間における血糖値、コルチゾール値、ニュウーロペプチドY |
統計学的手法 | F検定 |
結果 | 開胸5分後に0.25γ群では血糖が増加、コルチゾールも同様、ニューロペプチドYは無関係。心拍数は0.25γ群で増加。複雑心奇形症例では除脈を呈した。 |
結論 | レミフェンタニル0.1γ以上の使用で、小児心臓外科手術中のストレスホルモンを抑制できた。しかし、複雑心奇形症例では高度の除脈に注意する必要がある |
コメント | 高用量のレミフェンタニルでストレスホルモンを抑え、血糖コントロールを良好にする、という考え方の原論文である。ただ、1.0γ以上で維持うることは循環抑制を考えると難しい。 |
作成者 | 谷口英喜 |
種々の術後鎮痛方法に関する文献
タイトル (日本語) |
術後痛へのデキサメタゾンの周術期全身単回投与 |
タイトル (英語) |
Perioperative Single Dose Systemic Dexamethasone for Postoperative Pain |
著者名 | Gildasio S. De Oliveira,MarcelaD.Almeida,Honorio T.Benzon,RobertJ.McCarthy |
雑誌名、巻:頁 | Anesthesiology2011;115:575-88 |
目的 | デキサメタゾンの周術期投与は術後の悪心・嘔吐を減らすために周術期に投与されるが、鎮痛効果はよく定義されていないため、デキサメタゾンの用量依存鎮痛効果を評価する。 |
研究デザイン | randomized controlled trial |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
大学病院(Northwestern university)、アメリカ(シカゴ) |
対象患者 | 2751人の患者(24の無作為化試験) |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
術後0-4時間の安静時と活動時の早期急性痛スコア、術後24時間の安静時と活動時の晩期急性痛、術後24時間までのオピオイドの総消費量 |
統計学的手法 | Meta-analysis |
結果 | 術前のデキサメタゾン投与は術中投与に比し、鎮痛効果が高い。 |
結論 | 0.1mg/kg以上のデキサメタゾン投与は術後痛とオピオイド消費量の減少につながる。0.11-0.2mg/kgのデキサメタゾン量投与は最も術後疼痛に対して安全であり効果的である。 |
コメント | |
作成者 | 海堀昌樹(関西医科大学外科) |
タイトル (日本語) |
腹部外科手術後鎮痛における術前のTAP(腹横筋膜面)ブロック |
タイトル (英語) |
Perioperative transversus abdominis plane(TAP) blocks for analgesia after abdominal surgery |
著者名 | Shona Charlton,Allan M Cyna,Philippa Middleton,James D Griffiths |
雑誌名、巻:頁 | Cochrane Library 2010, Issue 12 |
目的 | 腹部手術後鎮痛のTAPブロックの効果を評価する。 |
研究デザイン | review |
エビデンス レベル |
Ⅴ |
治療環境・ 施設名 |
多施設、オーストラリア |
対象患者 | 358名(TAPブロックを評価した5つの研究、腹直筋鞘ブロックを評価した3つの研究、計8つの研究) |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
術後疼痛スコア、オピオイド使用量、吐気・悪心 |
統計学的手法 | 不明 |
結果 | TAPブロックを評価した5つの研究のうち、明らかな効果がみられた研究は2つだけであり、腹直筋鞘ブロックについても明らかな効果は見られなかった。 |
結論 | 術前TAPブロックは、介入なし群あるいはプラセボ群に比べてオピオイド消費量やペインスコアを減少させることを示唆する限定的なエビデンスがあるのみで、今後の研究成果が待たれる。 |
コメント | |
作成者 | 海堀昌樹(関西医科大学外科) |
タイトル (日本語) |
腹腔鏡下胃切除術後の痛み減少のための腹腔内局所麻酔剤投与に関する系統的レビューとメタ分析 |
タイトル (英語) |
Systematic review and meta-analysis of intraperitioneal local anaesthetic for pain reduction after laparoscopic gastric procedures |
著者名 | A.kahokehr,T.Sammour,S.Srinivasa,A.G.Hill |
雑誌名、巻:頁 | British Journal of Surgery 2011;98:29-36 |
目的 | 低侵襲な腹腔鏡下胃切除術の発展普及により、内臓痛覚は術後痛の重要な調査領域になっている。腹腔鏡下胃切除術における腹腔内局所麻酔剤(IPLA)の臨床効果を調査する。 |
研究デザイン | systematic review |
エビデンス レベル |
Ⅴ |
治療環境・ 施設名 |
オークランド大学、ニュージーランド |
対象患者 | Five randomized controlled trials |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
腹痛の強度、肩の痛みの発生率、オピオイド消費量 |
統計学的手法 | meta-analysis |
結果 | IPLAは腹痛の強度:-1.64(-2.09~-1.19 95%C.I)、肩の痛みの発生率:0.15(0.05~0.44 95%C.I)、オピオイド消費量:-3.23(-4.81~-1.66 95%C.I)の全てp<0.001で有意差をもって減少させる。 |
結論 | IPLAは腹腔鏡下胃切除術において腹痛、肩の痛みの発生、オピオイド消費を減少させるのに有益である。 |
コメント | |
作成者 | 海堀昌樹(関西医科大学外科) |
タイトル (日本語) |
結腸切除後の腹腔内局所麻酔剤投与(IPLA)は術後回復を早める |
タイトル (英語) |
Intraperitoneal Local Improves Recovery After Colon Resection |
著者名 | Arman Kahokehr,Tarik Sammour,Kamran ZargarShoshtari,Matthew Taylor,Andrew G.Hill |
雑誌名、巻:頁 | Annals of Surgery Volume254,Number1,July 2011 |
目的 | ERASプログラム下で結腸切除後硬膜外麻酔術後2日間併用でのIPLA皮切前ロピバカインおよび術後ロピバカイン希釈液3日間腹腔内持続投与におけるプラセボ群との比較検討 |
研究デザイン | A Double-Blinded RCT |
エビデンス レベル |
Ⅱ |
治療環境・ 施設名 |
大学(オークランド大学)、ニュージーランド |
対象患者 | 術前にスタンダードなERASプロトコルに従ってケアされた60名の患者。 |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
surgical recovery score(SRS), 術後合併症発生率、術後入院期間、血中炎症性サイトカイン濃度、オピオイド使用量 |
統計学的手法 | Fisher's Exact test, χ2 test, Mann-Whitney U test |
結果 | IPLA群では腹腔内ロピバカイン投与時間に対してSRSスコアが改善、痛みやオピオイド使用量が減少した。全身サイトカインやコルチゾール反応は減少し、高濃度であるが安全域のロピバカイン血中濃度を維持した。 |
結論 | 結腸切除後の腹腔内ロピバカイン投与は手術からの早期回復につながる。患者は痛みとオピオイド使用量が顕著に減少した。 |
コメント | |
作成者 | 海堀昌樹(関西医科大学外科) |
タイトル (日本語) |
腹部手術におけるIPLAに関する系統的レビュー |
タイトル (英語) |
intraperitoneal local anaesthetic in abdominal surgery -a systematic review |
著者名 | Arman Kahokehr,Tarik Sammour,Kamran ZargarShoshtari,Matthew Taylor,Andrew G.Hill |
雑誌名、巻:頁 | ANZ Journal of Surgery 81 (2011) 237-245 |
目的 | IPLAは腹部手術後の内蔵痛を軽減するために用いられるが、開腹手術後でルーチンに行われてはいない。腹部手術におけるIPLAの臨床効果を評価する。 |
研究デザイン | Systematic review |
エビデンス レベル |
Ⅴ |
治療環境・ 施設名 |
大学(オークランド大学)、ニュージーランド |
対象患者 | Twelve trials with eight RCT |
介入 | |
主要評価項目 (定義) |
術後疼痛、オピオイド使用量、術後高血糖、術後腸管機能 |
統計学的手法 | Meta-analyses |
結果 | IPLA使用により術後痛は減少したがオピオイドの使用量は減少しなかった。術後高血糖は改善されたが、術後コルチゾール反応には違いが認められなかった。術後腸管機能の回復は早いようであった。 |
結論 | IPLAは安全かつ臨床的効果があるように思えるが、最適な周術期環境で研究されていない。今後IPLAの効果を主要腹部手術後に内臓痛ブロックに関して評価する必要がある。 |
コメント | |
作成者 | 海堀昌樹(関西医科大学外科) |
硬膜外麻酔が身体機能に与える影響に関する文献
タイトル (日本語) |
硬膜外麻酔法および鎮痛法が手術によるストレス反応と術後の栄養状態に与える影響 |
タイトル (英語) |
Epidural anaesthesia and analgesia - effects on surgical stress responses and implications for postoperative nutrition |
著者名 | K. HOLTE, H. KEHLET |
雑誌名、巻:頁 | Clinical Nutrition (2002) 21(3): 199-206 |
目的 | 術中の硬膜外麻酔法が手術によるストレス反応と術後の栄養状態に与える影響を検討する さらに、術後の硬膜外鎮痛法が術後回復能力に与える影響を検討する |
研究デザイン | systematic reviews |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
Dept of Surgica Gastroenterology, Hvidovre University Hospital, DK-2650 Hvidovre, Denmark) |
対象患者 | 術中の硬膜外麻酔に関しては対象患者は9559人 術式は腹部手術全体と関節 |
介入 | 硬膜外鎮痛 あり vs. なし、 持続vs.ボーラス、局所麻酔 vs. 麻薬 |
主要評価項目 (定義) |
術後の栄養状態(糖質、脂質、蛋白代謝、イレウス) |
統計学的手法 | 術中の硬膜外麻酔に関しては141の、術後に関しては複数のRCTを比較検討したreview |
結果 | 硬膜外鎮痛は、局所麻酔を使用した持続的な使用により手術侵襲に対する異常反射、交感刺激反射を抑制する。糖質に関しては術後の高血糖を防ぐ、インスリン抵抗性を減弱させる。脂質に関しては術中の脂肪分解を防ぐ。術後のたんぱく異化を防ぐ。術後の持続的な硬膜外鎮痛の使用は全身的な麻薬の投与に比べ術後イレウスの発症を、呼吸器合併症を減少させる。さらには、たんぱく合成を促進させる。痛みを取り離床を促進させる。 |
結論 | 術中の硬膜外麻酔による代謝の維持は術後回復に貢献できる。術後硬膜外鎮痛法も術後のリハビリに組み込み、経口摂取を容易にし、様々な面で術後回復を促進できる。大きな手術に関しては硬膜外麻酔および鎮痛法を活用して周術期管理をすべきである。 |
コメント | 抗血栓療法および全静脈麻酔がひろく普及した影響で、硬膜外麻酔はあえて危険をおかしてまで行わない麻酔科医が増えた。しかし、改めて全身状態に与える影響を考えると、硬膜外麻酔を実施するメリットは大きいと考える。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
栄養素を輸液した時の硬膜外鎮痛の同化作用の検討 |
タイトル (英語) |
The Anabolic Effect of Epidural Blockade Requires Energy and Substrate Supply |
著者名 | Thomas Schricker, et al. |
雑誌名、巻:頁 | Anesthesiology 2002; 97:943-51 |
目的 | 術後の栄養輸液実施期間において、硬膜外鎮痛と全身麻薬による疼痛コントロールの違いがたんぱく同化作用に与える影響を検討する。 |
研究デザイン | 前向き介入比較試験 |
エビデンス レベル |
Ⅱ |
治療環境・ 施設名 |
McGill University, Royal Victoria Hospital |
対象患者 | 16名の結腸手術を受けた患者を2群に分ける |
介入 | 術後2日間の持続硬膜外鎮痛を受ける vs. コントロール群(全身的な麻薬投与PCA) |
主要評価項目 (定義) |
L-[1-13C]leucine (99% 13C) and [6,6-2H2]glucoseによりたんぱく、糖代謝を評価する |
統計学的手法 | 術中の硬膜外麻酔に関しては141の、術後に関しては複数のRCTを比較検討したreview |
結果 | 術後の絶飲食の時間帯には硬膜外鎮痛の有無によりたんぱく、糖代謝に影響は出なかった。 しかし、糖質およびアミノ酸輸液を開始している期間では両群でたんぱく合成は促進された。 その比率は硬膜外鎮痛群では13%、コントロール群では4%の増加率であった。 |
結論 | 非経口的な栄養が実施されているケースにおいて硬膜外鎮痛は栄養素の利用効率をあげ、たんぱく異化を抑える可能性がある。 |
コメント | 前出のコメントと同様で、改めて全身状態に与える影響を考えると、硬膜外麻酔を実施するメリットは大きいと考える。ただ、対象が少ないのと、ストレスホルモンの計測がされていないので推論での考察が多く思える。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
術後患者がコントロールできる持続硬膜外鎮痛と全身麻薬投与による鎮痛法の比較 |
タイトル (英語) |
Efficacy of Postoperative Patient-controlled and Continuous Infusion Epidural Analgesia versus Intravenous Patient-controlled Analgesia with Opioids |
著者名 | Christopher L, et al. |
雑誌名、巻:頁 | Anesthesiology 2005; 103:1079-88 |
目的 | 術後の疼痛コントロールに対して硬膜外鎮痛(投与方法に関してはサブ解析)と全身的な麻薬投与(PCA)方法を比較検討する。 |
研究デザイン | Meta-analysis |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
病院 |
対象患者 | 1966-2004年のRCT299研究のうちクライテリアに合致した50本の研究、対象患者1625名 手術範囲は全ての手術が対象 |
介入 | 硬膜外鎮痛 1625名 vs. PCA1583名 |
主要評価項目 (定義) |
術後3日目までの各日における安静時および運動時のpain score |
統計学的手法 | Meta-analysis |
結果 | 術後3日までの確実において安静時および運動時ともに硬膜外鎮痛(PCEA)は全身麻薬投与(PCA)に比べて疼痛コントロールが良好であった。手術部位も、胸部、腹部、骨盤、下肢、帝王切開全てにおいてPCEAが優れていた。合併症としてはPCEAで皮疹と下肢脱力が多かった。 |
結論 | 硬膜外鎮痛はおおよそ全身的な麻薬投与よりも疼痛コントロールおよび合併症の少なさの点で優れている。硬膜外のタイプは間欠・持続、投与時間、投与薬品などに違いはあるが、その効果はどれも全身的な麻薬投与に勝る。 |
コメント | 全身的麻薬投与(PCA)がその手技の簡便性や手技上の合併症の少なさから実施されるようになったが、術後回復能力の強化という面では硬膜外鎮痛を指示する論文が圧倒的に多い。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
腹腔鏡補助下結腸切除術において硬膜外鎮痛は消化管機能を維持し経口摂取を促進する |
タイトル (英語) |
Thoracic epidural analgesia facilitates the restoration of bowel function and dietary intake in patients undergoing laparoscopic colon resection using a traditional, nonaccelerated, perioperative care program |
著者名 | Taqi A, Hong X, Mistraletti G, Stein B, Charlebois P, Carli F. |
雑誌名、巻:頁 | Surg Endosc. 2007 Feb;21(2):247-52. Epub 2006 Dec 9. |
目的 | 結腸切除術の周術期管理において胸部硬膜外鎮痛法が消化機能の回復に及ぼす影響を検討する |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Ⅱ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Surgery, McGill University Health Centre, 1650, Cedar Avenue, Room D10.144, Montreal, H3G 1A4, Quebec, Canada. |
対象患者 | 腹腔鏡補助下結腸切除術患者 |
介入 | 硬膜外鎮痛(マーカイン+フェンタ) 25名 vs. PCA(モルヒネ静注)25名 |
主要評価項目 (定義) |
術後の排ガスまでの時間、喫食量、術後鎮痛の質、在院日数 |
統計学的手法 | 対応のない検定、Mann-whiteny U test |
結果 | 硬膜外鎮痛群で排ガスまでの時間、喫食率回復までの時間が短かった。さらに術後2日目の疼痛コントロールは安静時、咳嗽時ともに良好であった。しかし、在院日数に変わりはなかった。 |
結論 | 従来法の結腸切除術の周術期管理においてはPCAよりも胸部硬膜外鎮痛法による術後鎮痛が消化機能の回復および疼痛コントロールの質の点で勝っていた。 |
コメント | 術後回復能力強化プログラムを行った状況であるとPCAも硬膜外も効果に違いないことが報告されている。この論文では従来型の管理であると硬膜外により回復を速めることができると結論付けているところが興味深い。 |
作成者 | 谷口英喜 |
タイトル (日本語) |
腹腔鏡補助下結腸切除術における術後鎮痛に関するレヴュー |
タイトル (英語) |
A systematic review of postoperative analgesia following laparoscopic colorectal surgery. |
著者名 | Levy BF, Tilney HS, Dowson HM, Rockall TA. |
雑誌名、巻:頁 | Colorectal Dis. 2010 Jan;12(1):5-15. |
目的 | 腹腔鏡下の結腸切除術の周術期管理において胸部硬膜外鎮痛法が消化機能の回復に及ぼす影響を検討する |
研究デザイン | systematic review |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
Department of Surgery, Minimal Access Therapy Training Unit, Postgraduate Medical School, University of Surrey, Guildford, GU2 7WG Surrey, UK. |
対象患者 | 腹腔鏡補助下結腸切除術 |
介入 | 術後鎮痛に硬膜外(対象はPCA モルヒネ) |
主要評価項目 (定義) |
主)在院日数 副)術後疼痛、消化管機能の回復、合併症 |
統計学的手法 | meta analysis |
結果 | 5つのstudyで比較したところ、疼痛コントロールに関しては硬膜外が有用。しかし、在院日数他、予後に差は認められなかった。くも膜下麻酔およびNSAIDの併用が術後鎮痛には有効であった。 |
結論 | データ不足により、術後鎮痛の優劣に結論がつけられない。 |
コメント | 開腹結腸切除術では硬膜外鎮痛の使用により良好な疼痛コントロールが得られるが在院日数は変わらなかった。この研究では侵襲の小さい腹腔鏡ならどうか?を検討しているが結果は同じであった。術後回復を考えるとPCAでも硬膜外でも同じということになる。 |
作成者 | 谷口英喜 |
手術前ステロイドに関する文献
タイトル (日本語) |
産婦人科外来日帰り手術前に投与するデキサメタゾンの術後回復度とオピオイド消費量に与える影響の至適投与量に関する研究 |
タイトル (英語) |
Dose ranging study on the effect of preoperative dexamethasone on postoperative quality of recovery and opioid consumption after ambulatory gynaecological surgery |
著者名 | G. S. De Oliveira Jr, S.Ahmad, P. C. Fitzgerald, R. J.Marcus, C. S. Altman, A. S. Panjwani and R. J. McCarthy |
雑誌名、巻:頁 | British Journal of Anaesthesia 107 (3): 362-71 (2011) |
目的 | 産婦人科外来日帰り手術前投与が普及してきているグルココルチコイドが、40の質問からなる調査表を用いた術後回復の定量的評価にどのように影響を及ぼすのか容量依存性も含めて検討 |
研究デザイン | ranndomized, prospective, double-blind trial |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
Northwestern University Feinberg School of Medicine, Cicago |
対象患者 | 外来日帰り腹腔鏡手術を受ける106名の女性患者 |
介入 | 術前待機室にて生食、デキサメタゾン0.05mg/kg、デキサメタゾン0.1mg/kgを10分間で静脈投与 |
主要評価項目 (定義) |
Global QoR-40 scores、 |
統計学的手法 | one-way ANOVA、Kruskal-Wallis H test、Tukey-Kramer or Dunn’s test with Bonnferoni correction for multiple comparisons |
結果 | デキサメタゾン0.1mg/kg投与群では他の2群に比し、術後創痛が軽度でオピオイド使用料が有意に少なく、喉の痛みや嘔気嘔吐、睡眠障害などが少なかった |
結論 | 産婦人科日帰り手術の術前デキサメタゾン投与は術後回復を用量依存的に改善し、術後創痛も軽減する |
コメント | 比較的軽度侵襲の手術であるが、「日帰り」を目指すためには、より速い回復をめざす必要があり、そのためのツールとしてデキサメタゾン術前投与が有意義であることが分かった。またその用量についても新たな知見である。 |
作成者 | 宮田 剛 |
タイトル (日本語) |
腹部外科手術前グルココルチコイド使用 -無作為試験のメタ解析と総説- |
タイトル (英語) |
Preoperative glucocorticoid use in major abdominal surgery Systematic review and meta-analysis of randomized trials |
著者名 | Srinivasa S, Kahokehr AA, Yu TC, Hill AG |
雑誌名、巻:頁 | Annals of Surgery 254(2): 183-191 (2011) |
目的 | 腹部外科領域における術前グルココルチコイド投与の臨床的安全性と有用性について短期的成果を検討する |
研究デザイン | 無作為対象比較試験11の論文に関し、合併症と在院日数、術後第一病日の血清IL-6に関しての定量的メタ解析 |
エビデンス レベル |
II |
治療環境・ 施設名 |
South Auckland Clinical School,University of Auckland, New Zealand |
対象患者 | 肝切除、大腸癌手術、ヘルニア、肝移植を受ける患者に関する試験 |
介入 | 10-30/kgあるいは500mg/bodyのMethylprednisoloneあるいは8mg/bodyのDexamethasone IV |
主要評価項目 (定義) |
ALT, Pain, FEV, FVC, IL-6, Cr, Fatigue, 他肝機能指標、各種サイトカイン、 |
統計学的手法 | Mantel-Haenzsel method for dichotomous outcomes, Inverse variance method for continuous outcomes |
結果 | 11の論文から439名の患者データを比較し、術前グルココルチコイド投与にて合併症数、在院日数、IL-6濃度は減少した。 |
結論 | 術前グルココルチコイド投与は術後の炎症反応を軽減することによって合併症や在院日数を減少させる。 |
コメント | 大腸癌や肝切除も含めた腹部一般外科手術の領域で術前ステロイドの有用性をメタ解析によって証明したが、使用したステロイドの量や種類にばらつきがあるため、層別化した解析がさらに必要になるものと思われる。 |
作成者 | 宮田 剛 |
タイトル (日本語) |
術後鎮痛のための周術期デキサメタゾン全身単回投与 -無作為対象比較試験のメタ解析- |
タイトル (英語) |
Perioperative single dose systemic dexamethasone for postoperative pain - A Meta-analysis of randomized controled trials |
著者名 | De Oloveira GS, Almeida MD, Benzon HT, McCarthy RJ |
雑誌名、巻:頁 | Anesthesiology 115(3): 575-588 (2011) |
目的 | Dexamethasoneは術後の嘔気嘔吐を改善する目的で使用される事が多いが、術後の痛みに関しての効果が評価対象になる事は少ない。術前Dexamethasoneの用量依存的鎮痛効果があるか否かをメタ解析にて検討する。 |
研究デザイン | 24の無作為対象比較試験(合計2751名の患者)を用いて、術前Dexamethasoneの術後疼痛に対するお効果をメタ解析にて検討 |
エビデンス レベル |
II |
治療環境・ 施設名 |
Northwestern University Feinberg School of Medicine, Cicago |
対象患者 | 19歳以上の手術患者。手術:腹腔鏡下胆嚢摘出、鼻手術、耳手術、股関節手術、甲状腺切除、肛門手術、乳腺手術、腰部椎間板手術、扁桃腺摘出、婦人科手術 |
介入 | 術前デキサメタゾン投与を3群に分けた。少量使用群(0.10mg/kg以下)、中等量使用群(0.11-0.20mg/kg)、大量使用群(0.21mg/kg以上) |
主要評価項目 (定義) |
安静時痛、体動時痛をVisual Analogue Scaleにて評価。累積オピオイド使用量 |
統計学的手法 | Z-test with Bonnferoni correction for multiple comparisons |
結果 | 24の論文から2751名の症例分のデータを集積し、安静時痛や動作時痛に関してもデキサメタゾンの使用は偽薬に比較して軽減された。オピオイド消費量は少量使用群では差が出なかったが、中等量使用群と大量使用群では減少した。これらの鎮痛効果は術中投与よりも術前投与で明らかだった。 |
結論 | 0.1mg/kg以上の術前デキサメタゾン投与は術後の鎮痛に一定の効果を示し、オピオイドの消費量も減少できる。 |
コメント | 種々の手術においても術前のステロイドが鎮痛に好影響を与える事は、炎症性反応が痛みにも大きな影響を与えていることを示唆し興味深い結果である。他の炎症抑制策に関しても鎮痛効果を検討してみる価値があるかもしれない。 |
作成者 | 宮田 剛 |
タイトル (日本語) |
術前高用量ステロイド投与は肝切除後のストレス反応を改善する -前向き無作為試験の結果- |
タイトル (英語) |
Preoperative high-dose steroid administration attenuates the surgical stress response following liver resection: results of a prospective randomized study. |
著者名 | Schmidt SC, Hamann S, Langrehr JM, Hoflich C, Mittler J, Jacob D, Neuhaus P |
雑誌名、巻:頁 | J Hepatobiliary Pancreat Surg 14: 484-492 (2007) |
目的 | 肝切除を行う患者の術前に高用量のステロイドを投与し、術後の炎症反応亢進や免疫抑制などに対する改善効果を検討する。 |
研究デザイン | ranndomized prospective trial |
エビデンス レベル |
II |
治療環境・ 施設名 |
Department of General-, Visceral-, and Transplantation Surgery, University Medicine Berlin, Charite Campus Virchow Clinic, Germany |
対象患者 | 肝切除手術を受ける20名の患者 |
介入 | ステロイド群では、術前90分前に30mg/kgのmethylprednisolone(MP)、対照群では同量の生理食塩水を静脈内投与する。 |
主要評価項目 (定義) |
血清IL-6、末梢血単球でのHLA-DRとLPS induced TNFα、CRP,T-bil, ALT, AST, PT-INR, IL-8, IL-10, TNFα, mobilization scoreによる術後回復、合併症発生率、在院日数 |
統計学的手法 | Mann-Whitney U-test for continuous value, chi square or Fisher exact test for categorical parameters |
結果 | 術後IL-6(day1-2), IL-8(day2-3), CRP(day1-4), T-bil(day6)は有意にステロイド群で低値。LPS induced TNFαは術後4時間でステロイド群で有意に減少し、術後在院日数も短かった。術後回復や他の生化学パラメータには有意差なし。 |
結論 | 肝切除術前MP静脈投与によって全身性炎症サイトカイン放出は抑制され、免疫学的な不利益はなかった。mobilization scoreによる回復程度には差がないが、在院日数は短縮された。 |
コメント | 比較的高用量のステロイドの投与のために、その免疫抑制を懸念し、免疫学的副作用を検証してそれを払拭した研究。在院日数短縮の理由をさらに知りたいところだが、mobilization scoreが本当に知りたい違いを評価するのに適しているかどうかは検討の余地あり。 |
作成者 | 宮田 剛 |
CHO負荷に関する文献
タイトル (日本語) |
待機的手術患者における術前炭水化物負荷のメタ解析 |
タイトル (英語) |
A meta-analysis of randomised controlled trials on preoperative oral carbohydrate treatment in elective surgery |
著者名 | Sherif Awad, Krishna K.Varadhan, Olle Ljungqvist, Dileep N.Lobo |
雑誌名、巻:頁 | Clinical Nutrition Available online 7 November 2012 |
目的 | 術前炭水化物負荷のアウトカムを検討する |
研究デザイン | 21の前向き無作為化試験 |
エビデンス レベル |
Level Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
手術患者 |
対象患者 | 結腸手術をはじめ、胆摘、心血管、整形外科まで様々 |
介入 | (麻酔導入2-4時間前に50g以上の経口的炭水化物負荷) |
主要評価項目 (定義) |
【主要評価】 在院日数 【副次評価】 術後インスリン抵抗性、嘔吐・誤嚥、術後合併症、術後悪心・嘔吐 |
統計学的手法 | メタ解析 |
結果 |
【主要評価】 在院日数 (結果) 12の研究で在院日数を評価しており、術前炭水化物負荷群とコントロール群で在院日数に有意差なし。 -0.19 day [-0.46 to -0.08] p=0.16 サブ解析の結果、腹部の大手術(7つの研究)では、術前炭水化物負荷群で在院日数が短縮。 -1.08 day [-1.87 to -0.29] p=0.007 【副次評価】 術後インスリン抵抗性、嘔吐・誤嚥、術後合併症、術後悪心・嘔吐 (結果) インスリン抵抗性の評価方法はグルコースクランプ法、HOMA-IR、QUICKIと様々。 各研究の結果を個別に表記し、術前炭水化物負荷はインスリン抵抗性を減弱するとの結論。 嘔吐・誤嚥は全ての研究で起こっておらず安全である。術後合併症は両群間で差がない。 術後悪心・嘔吐は変わらないとの結果が3つ、減るとの結果が1つ、増えるとの結果1つ。 |
結論 | 腹部の大手術(開腹手術)では在院日数を短縮する。 解析対象となった各々の研究の質は低い、または高くない。 |
コメント | 結果は以前から言われているとおり、炭水化物負荷はインスリン抵抗性を軽減、しかし合併症は不変。あえて言えば、腹部の大手術のみ在院日数の短縮あり。限定的な使用なら試してみる価値はある? 【利益相反】 筆頭著者のAwadはNutricia Clinical Careからeducational supportを受け。 共同著者のLjungqvistとLoboはNutricia Clinical Careから、研究費をもらっており、また、Ljungqvist はNutricia preOpの特許権を持っている。 |
作成者 | 谷口英喜 |
腸管前処置に関する文献
タイトル (日本語) |
結腸直腸予定手術に対する機械的腸管洗浄 |
タイトル (英語) |
Mechanical bowel preparation for elective colorectal surgery. |
著者名 | Güenaga KF, Matos D, Wille-Jørgensen P. |
雑誌名、巻:頁 | Cochrane Database Syst Rev. 2011; (9): CD001544. |
目的 | 結腸・直腸手術時の機械的腸管洗浄の安全性と効果を合併症と死亡率で検討すること |
研究デザイン | systemic reviews |
エビデンス レベル |
Level Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
|
対象患者 | 結腸癌予定手術患者,直腸癌予定手術患者 |
介入 | 術前腸管の機械的洗浄の有無,腸管の機械的洗浄と浣腸のみ |
主要評価項目 (定義) |
縫合不全 |
統計学的手法 | Cumulative meta-analysis |
結果 | 低位前方切除と結腸切除術ともに腸管洗浄群と非洗浄群で縫合不全の発症に有意差はなく,トータルで比較しても差はなかった.また,二次評価項目である,死亡率,腹膜炎発症率,再手術率,創感染率,感染性あるいは非感染性腹腔外合併症発生率につても両群間に差を認めなかった.この結果は,腸管洗浄と浣腸のみの比較でも同様であった. |
結論 | 現時点では術前腸管洗浄の利点は認められない.術中内視鏡が必要な症例などに絞って行う場合に適応となる. |
コメント | 今回の検討では,直腸低前方切除例が全体の20%程度の数しか含まれないため,更なるRCTが必要である.また,腹腔鏡手術についても同様にこれからRCTを行っていく必要がある.また,RCTを行う際には,最低術後30日の経過観察期間を持って検討する必要がある. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
予定結腸・直腸手術に対する機械的腸管洗浄のメタ解析 |
タイトル (英語) |
Mechanical bowel preparation for elective colorectal surgery: updated systematic review and meta-analysis. |
著者名 | Cao F, Li J, Li F. |
雑誌名、巻:頁 | Int J Colorectal Dis. 2012; 27(6): 803-10. |
目的 | 予定大腸癌手術に対する術前腸管機械的洗浄処置の短期予後への影響を検討する. |
研究デザイン | systemic reviews |
エビデンス レベル |
Level I |
治療環境・ 施設名 |
|
対象患者 | 結腸・直腸予定手術患者 |
介入 | 術前腸管の機械的洗浄の有無 |
主要評価項目 (定義) |
縫合不全発生率 |
統計学的手法 | meta-analysis |
結果 | 主要評価項目である縫合不全については両群間に差はなく,副次的評価項目であるSSI,腹腔外敗血症合併,再手術,死亡率,創感染についても有意差はなかった. |
結論 | 腸管の機械的洗浄は大腸の術前に慣習的に行うべきものではない. |
コメント | 結果として2011年のCochrane systemic reviewと同様の内容になるが,ポリエチレングリコールで前処置を行った7RCTを個別に解析すると無前処置と比較して縫合不全とSSIのリスクが高く,リン酸ナトリウムで前処置を行った3RCTを同様に比較するとSSIのリスクがあがること,直腸手術については2RCTしか使用できるデータは無いものの,腸管洗浄群で有意にSSIのリスクが低下していたことを示している点は,今後に必要なRCTの方向性を示唆している. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
直腸癌に対する機械的腸管洗浄の有無に関するFrench GRECCAR IIIでの多施設共同研究 |
タイトル (英語) |
Rectal cancer surgery with or without bowel preparation: The French GRECCAR III multicenter single-blinded randomized trial. |
著者名 | Bretagnol F, Panis Y, Rullier E, Rouanet P, Berdah S, Dousset B, Portier G, Benoist S, Chipponi J, Vicaut E; French Research Group of Rectal Cancer Surgery (GRECCAR). |
雑誌名、巻:頁 | Ann Surg. 2010; 252(5): 863-8. |
目的 | 肛門温存直腸癌手術時の術前腸管機械的洗浄が予後に与える影響を明らかにすること |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Level I |
治療環境・ 施設名 |
多施設共同研究(8施設) |
対象患者 | 直腸癌患者(n=89 in each group) |
介入 | 機械的腸管洗浄の有無 |
主要評価項目 (定義) |
術後30日間における合併症発生率 |
統計学的手法 | chi-square test, log-rank test, Cochran-Mantel- Haenszel test, Breslow-day test |
結果 | 術後合併症発生率は有意に非腸管洗浄群で多く,その中で感染性合併症は有意に非腸管洗浄群で多かった.死亡率には差は無かった.また,有意ではないが,非腸管洗浄群で縫合不全と腹膜炎のリスクが2倍高い傾向があった. |
結論 | 直腸癌の術前には,結腸癌とは異なり腸管の機械的洗浄を行った方が良い. |
コメント | 直腸癌への術前機械的腸管洗浄に関する数少ない大規模RCTであり,ここで非腸管洗浄群で術後合併症ならびに感染性合併症が有意に多くなったという結果は今後検証していかねばならない重要な知見であるが,プレパレーションの方法がかなり日本の一般的な方法と異なる点に留意が必要である. |
作成者 | 石橋生哉 |
タイトル (日本語) |
大腸癌術前腸管機械的前処置の意義に関するRCTのメタ解析と最新の統計的レビュー |
タイトル (英語) |
Updated systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials on the role of mechanical bowel preparation before colorectal surgery. |
著者名 | Slim K, Vicaut E, Launay-Savary MV, Contant C, Chipponi J. |
雑誌名、巻:頁 | Ann Surg. 2009; 249(2): 203-9. |
目的 | 腸管機械的洗浄の結腸直腸手術予後への影響と機械的洗浄方法の違いによる感染性合併症への影響を最新のRCTをメタ解析することにより明らかにする. |
研究デザイン | systematic review |
エビデンス レベル |
Level I |
治療環境・ 施設名 |
|
対象患者 | 結腸直腸予定手術患者 |
介入 | 腸管機械的洗浄 |
主要評価項目 (定義) |
縫合不全 |
統計学的手法 | meta-analysis |
結果 | 主要評価項目の縫合不全に関しては腸管洗浄の有無による差は認めず,副次的評価項目である腹部・骨盤内膿瘍,創傷感染,敗血症,再手術,死亡例についても差を認めない.また,腸管洗浄法の違いは,評価項目に影響を与えない. |
結論 | 如何なる方法の腸管機械的洗浄も大腸手術前に行うべきではない. |
コメント | 機械的腸管洗浄に対して否定的な意見である.直腸手術や腹腔鏡手術に関しては,十分なRCTがないため今後の検討が必要であるが,約5,000例にわたるメタ解析の結果,腸管洗浄に利点があるサブ解析の結果として腹腔内膿瘍のリスクが少ないという点以外は無く,それも発生頻度が低いため臨床的に重要とは考え難い点があり,上記結論に至っている.しかし,この後にフランスのグループからGRECCAR IIIの結果が示され,今後のRCTによって考え方が変わる可能性もある. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
腹腔鏡下大腸手術における腸管の機械的洗浄の検討 |
タイトル (英語) |
Laparoscopic colectomy without mechanical bowel preparation. |
著者名 | Zmora O, Lebedyev A, Hoffman A, Khaikin M, Munz Y, Shabtai M, Ayalon A, Rosin D. |
雑誌名、巻:頁 | Int J Colorectal Dis. 2006; 21(7): 683-7. |
目的 | 腹腔鏡下大腸手術時の腸管機械的洗浄の有用性を検討すること |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Level II |
治療環境・ 施設名 |
Department of Surgery and Transplantation, Sheba Medical Center |
対象患者 | 腹腔鏡下手術予定の大腸疾患患者 |
介入 | 腸管機械的洗浄 |
主要評価項目 (定義) |
術後合併症 |
統計学的手法 | chi-squar test |
結果 | 合併症の発生率,縫合不全や死亡症例の発生率に有意差は無かった. |
結論 | 腹腔鏡下大腸手術は腸管機械的洗浄処置なしで行えるが,術中に内視鏡検査で病変の確認が必要な場合には行う. |
コメント | 内容としては不十分なものだが,腹腔鏡下大腸手術時の検討としては,現時点でRCTが少ない点では,重要な知見である. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
術前腸管機械的洗浄処置に対する患者へのアンケート調査 |
タイトル (英語) |
Preoperative mechanical preparation of the colon: the patient's experience. |
著者名 | Jung B, Lannerstad O, Påhlman L, Arodell M, Unosson M, Nilsson E. |
雑誌名、巻:頁 | BMC Surg. 2007 May 4;7:5. |
目的 | 患者の立場から術前腸管機械的洗浄処置の影響を検討する. |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Level II |
治療環境・ 施設名 |
多施設共同研究(3施設) |
対象患者 | 大腸癌,大腸腺腫,大腸憩室で予定手術をうける患者 |
介入 | 腸管機械的洗浄処置 |
主要評価項目 (定義) |
アンケート結果 |
統計学的手法 | chi-sqare test, t-test, Mann-Whitney U test |
結果 | 腸管洗浄群では約半数で処置にアシスタントが必要であり,30%の患者が次回手術が必要な場合に同じ方法での前処置を望まなかった.術後の痛みや嘔気に2群間に差は無く,術後4日目の腹部不快感は非洗浄群で有意に多かった.水分摂取時期や食事摂取時期には差は無く,腸管蠕動の回復は非洗浄群で有意に早かった. |
結論 | 術前腸管洗浄処置は患者を苦しめる原因となり,腸管運動の回復を遅らせる. |
コメント | 患者の立場からというユニークな視点での研究である. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
腸管機械的洗浄の生理学的影響 |
タイトル (英語) |
Physiologic Effects of Bowel Preparation |
著者名 | Holte K, Nielsen KG, Madsen JL, Kehlet H. |
雑誌名、巻:頁 | Dis Colon Rectum. 2004; 47(8): 1397-402. |
目的 | 腸管の機械的洗浄を行った際の生体への生理学的影響を明らかにする |
研究デザイン | 前向き臨床試験 |
エビデンス レベル |
Level III |
治療環境・ 施設名 |
Hvidovre University Hospital |
対象患者 | 合併症,既往症が無いボランティア |
介入 | リン酸ナトリウム製剤とビサコジルによる腸管洗浄 |
主要評価項目 (定義) |
体重,運動能力,血液生化学所見 |
統計学的手法 | Wilcoxon signed-rank test, nonparametric repeated measures ANOVA |
結果 | 腸管洗浄によって有意な体重減少と運動能力の低下を認め,血清浸透圧の増加,血清リン,尿素窒素の増加,血清カルシウムとカリウムの低下を認めた. |
結論 | 機械的腸管洗浄は,健常ボランティアに対して脱水による副作用をきたす. |
コメント | リン酸塩製剤による腸管の機械的洗浄が脱水や電解質異常をきたすことを示すもので,これらの処置の後に経口水分摂取を行うことが勧められている.腸管洗浄における注意点として重要な内容である. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
経口補水療法 |
タイトル (英語) |
ORAL REHYDRATION THERAPY |
著者名 | Farthing MJG |
雑誌名、巻:頁 | Pharmac. Ther . 1994; 64:477-492 |
目的 | 経口療法(ORT)は、今世紀最大の治療上の進歩の一つであるとの認識を得た歴史的経緯を紹介し、ORTは、多様な病因の急性下痢症状において有効である根拠を示している。 |
研究デザイン | systematic reviews |
エビデンス レベル |
Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
開発途上国 |
対象患者 | 下痢に伴う脱水症 |
介入 | ORAL REHYDRATION THERAPY(経口補水療法)によるClinical Efficacy |
主要評価項目 (定義) |
経口補水療法(ORT)の下痢による脱水症に対する臨床的な効果 |
統計学的手法 | |
結果 | 経口輸液療法(ORT)は、今世紀最大の治療上の進歩の一つであるとの認識を得た歴史的経緯を紹介し、ORTは、多様な病因の急性下痢症状において有効である根拠を示している |
結論 | |
コメント | 20世紀後半に開発途上国で発生した感染性下痢症に伴う脱水症にWHOが中心となりORTを活用し多くの患者を救命した、その理論と効果の総説である |
作成者 | 谷口英喜 |
免疫栄養周術期に関する文献
タイトル (日本語) |
消化器癌術前の経口免疫賦活栄養剤投与に無作為比較臨床試験 |
タイトル (英語) |
A randomized controlled trial of preoperative oral supplementation with a specialized diet in patients with gastrointestinal cancer. |
著者名 | Gianotti L, Braga M, Nespoli L, Radaelli G, Beneduce A, Di Carlo V. |
雑誌名、巻:頁 | Gastroenterology. 2002 Jun;122(7):1763-70. |
目的 | 術前に経口免疫賦活栄養剤を投与することが感染性合併症の減少や在院期間の短縮に有用であるか検証する |
研究デザイン | RCT |
エビデンス レベル |
Level Ⅰ |
治療環境・ 施設名 |
San Gerardo Hospital, Italy |
対象患者 | 食道癌,胃癌,膵癌,大腸癌 |
介入 | 経口免疫賦活栄養剤 |
主要評価項目 (定義) |
術後感染性合併症発生率,在院日数 |
統計学的手法 | One-way analysis of variance, Kruskal-Wallis test. Χ2 test, Fisher exact test. |
結果 | 術前経口免疫賦活栄養剤の投与は感染性合併症を減少させ,入院期間も短縮させる. |
結論 | 術前・術前後の経口栄養投与は患者の予後を改善した.また,栄養状態が良い術前患者でも免疫賦活栄養剤投与で感染性合併症が減少した. |
コメント | 本論文は,術前,術前後経口免疫賦活栄養剤投与と非投与群とを比較し,サブ解析でBMIを使った栄養状態の階層化を行い,低栄養,肥満患者の両方に免疫栄養剤投与効果があることを示している. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
開腹消化器手術患者に対する免疫調節栄養剤投与効果についてのメタ解析 |
タイトル (英語) |
A meta-analysis of the effect of combinations of immune modulating nutrients on outcome in patients undergoing major open gastrointestinal surgery. |
著者名 | Marimuthu K, Varadhan KK, Ljungqvist O, Lobo DN. |
雑誌名、巻:頁 | Ann Surg. 2012 Jun;255(6):1060-8. |
目的 | 2つ以上の免疫調節栄養素を含んだ栄養剤投与が,開腹消化器手術後の予後に及ぼす影響について明らかにすること. |
研究デザイン | systematic review |
エビデンス レベル |
LevelⅠ |
治療環境・ 施設名 |
|
対象患者 | 消化器手術患者 |
介入 | 2種類以上の免疫調整栄養素を含む経腸栄養剤 |
主要評価項目 (定義) |
感染性合併症,非感染性合併症,在院日数,死亡率 |
統計学的手法 | |
結果 | 26のRCTの解析から免疫調節栄養剤は感染性合併症と非感染性合併症を減少させ,在院日数を短縮させるが,死亡率には影響しない. |
結論 | 開腹消化器手術患者への免疫調節栄養剤の投与は有効. |
コメント | 免疫調整栄養剤の種類が5種類,投与時期が3つの時期に分かれており,この前に出されたsystemic reviewsよりは標準化されたメタ解析だが,各々の研究を十分理解しておく必要がある. |
作成者 | 石橋 生哉 |
タイトル (日本語) |
周術期のアルギニン付加栄養剤使用に関する知見の系統的論評 |
タイトル (英語) |
Perioperative use of arginine-supplemented diets: a systematic review of the evidence. |
著者名 | Drover JW, Dhaliwal R, Weitzel L, Wischmeyer PE, Ochoa JB, Heyland DK. |
雑誌名、巻:頁 | J Am Coll Surg. 2011 Mar;212(3):385-99. |
目的 | 予定手術患者に対するアルギニン付加栄養剤投与に関する最近の研究結果についての統計的レビューを示すこと |
研究デザイン | systematic review |
エビデンス レベル |
Level I |
治療環境・ 施設名 |
|
対象患者 | 予定手術患者 |
介入 | アルギニン付加栄養剤 |
主要評価項目 (定義) |
感染性合併症,在院日数,死亡率, |
統計学的手法 | |
結果 | 周術期のアルギニン付加栄養剤投与は,感染性合併症の減少と在院日数の短縮に寄与し,死亡率には関与しなかった. |
結論 | 周術期のアルギニン付加栄養剤投与は,術後合併症を減少させ,医療費の減少に寄与する可能性がある. |
コメント | 個々の研究での介入方法の違いを基にサブグループ解析を行い,その結果を検討している点で興味深いが,いずれにしてもアルギニン投与が感染症減少と在院日数の短縮にとって有効である. |
作成者 | 石橋 生哉 |