2 代謝・栄養・侵襲 用語ガイドライン
和文表記からの検索
あ |
か |
さ |
た |
な |
は |
ま |
や ・ ら |
▲ |
目 次 |
和文表記 |
英文表記 |
略語 | 解 説 ・ 備 考 |
【た行】 | |||
代謝亢進状態 | hypermetabolic state | 外傷,敗血症,外科手術,熱傷などエネルギー要求度が亢進した状態. | |
代謝性アシドーシス | metabolic acidosis | 酸の産生過剰,酸の排泄不全,塩基の過剰喪失の結果起こるアシドーシス.その特徴はアルカリ予備量の減少で,非代償型ではpH<7.35になる.近年,ビタミンB1非含有高カロリー輸液の合併症として注目されている. | |
体組成 | body composition | 身体を構成する成分.原子,分子,細胞,組織等の身体構成レベルにおける主要構成成分が知られている. | |
体内時計 | circadian clock | 日内変動を制御する中枢とそれに関する制御する蛋白が存在している. | |
大量麻薬麻酔 | high‐dose morphine anesthesia |
外科侵襲の緩和をもたらすとされている. | |
n‐3多価不飽和脂肪酸 | n‐3 polyunsaturated fatty acid |
PUFA | ω‐carbonから最初の不飽和結合までの距離が3の多価不飽和脂肪酸. |
多価不飽和脂肪酸 | polyunsaturated fatty acids |
PUFA | 血清や細胞膜のリン脂質の構成成分.n-6,n-3PUFAは哺乳動物における必須脂肪酸. |
多臓器不全 | multiple organ failure | MOF | 肝,腎,心,肺などの重要臓器が同時に機能不全に陥ること.多臓器障害・複合臓器不全(不可) |
ダブルバッグ型 TPN製剤 |
double bag preparation |
一つの大型プラスチックバッグを隔壁で仕切り,糖・電解質液とアミノ酸液を別々に収容し,用時に開通させて混合投与する形の静脈栄養輸液製剤. | |
短鎖脂肪酸 | short chain fatty acids | SCFA | 脂肪酸骨格の炭素数が4個以下の脂肪酸.近年,大腸粘膜上皮に対するintraluminalエネルギー基質として注目されている.腸内細菌による末消化多糖(一般に食物線維と呼ばれる)を基質として嫌気的発酵によって産生される.短鎖脂肪酸の主なものは酢酸,プロピオン酸,酪酸. |
炭水化物 | carbohydrate | 含水炭素(不可). | |
短腸症候群 | short bowel syndrome | 小腸を大量に切除されたのちに生じる難治性の下痢,消化吸収不全,進行性の体重減少,慢性栄養失調を特徴とする消化吸収不全症候群. | |
蛋白(質) | protein | 原則的に漢字表記. | |
蛋白合成速度 | fractional protein synthesis rate |
アミノ酸の体内動態の分析に用いられるパラメーターの一つ. 14 C‐leucineなどを用いて遊離アミノ酸と蛋白結合アミノ酸の放射活性比から計算する. | |
蛋白量 | 蛋白質量(可). | ||
蛋白代謝回転 | protein turnover | 生体内における蛋白の合成と分解の動態.一般的には同位元素を用いて蛋白の合成速度と崩壊速度を求めて総合的に評価する. | |
蛋白代謝動態 | protein metabolism | 投与栄養素の生体に及ぼす影響に関する評価法の一つ.蛋白合成速度と崩壊速度から評価する. | |
蛋白熱量栄養不良 | protein energy maluntrition |
PEM | 栄養不良の中でも蛋白と熱量の両方の摂取量の不足により来した栄養不良.protein calorie malnutrition(PCM):慣用的に使用しているが不可. |
チアミン | thiamine | ビタミンB1.近年,高カロリー輸液の合併症としての乳酸アシドーシス,ウェルニッケ症候群との関連で注目されている. | |
窒素出納/ 窒素バランス |
nitrogen balance | 生物体による全窒素摂取量と全窒素排泄量の差.健常成人ではNin=Nout,Nin>Nout:正の窒素平衡,Nin<Nout:負の窒素平衡. | |
窒素代謝 | nitrogen metabolism | 窒素を分子内に持っている物質の代謝. | |
窒素平衡 | mitrogen balance | N‐ balance |
窒素出納・窒素バランス(可). |
中鎖脂肪 | medium chain triglyceride |
MCT | 炭素数が6~12の脂肪酸から構成される脂肪.胆汁酸を欠いた状態でも水解が速やかで,ミセルを形成しなくても単純拡酸で細胞内に取り込まれ,細胞内では再エステル化されず脂肪酸のまま門脈血中に入る. |
中鎖脂肪酸 | medium chain fatty acids |
炭素数が6~12の脂肪酸. | |
中鎖脂肪乳剤 | medium chain triglyceride emulsion |
中鎖脂肪酸を多く含んだ脂肪乳剤.長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸を1:1に含んだものが臨床応用されている. | |
中心静脈栄養 | central venous nutrition |
中心静脈にカテーテルを挿入し,高カロリー輸液を行うこと. | |
中心静脈カテーテル | central venous catheter |
CVC | 中心静脈に先端を留置したカテーテル.抗血栓性が高く,適度な柔軟性が必要. |
中性脂肪 | triglyceride | TG | トリグリセリド(可).現在はtriacylglycerol(トリアシルグリセロール)が標準的. |
腸管粘膜透過性 | intestinal mucosal permeability |
生理的な経路を通らないで粘膜構造を物質が通過すること.絨毛構造の傷害,粘膜構造が破綻し,腸管のバリアー機構が障害されると透過性が亢進する.その機能検査には正常状態の消化管では吸収されにくい物質を投与して,その物質の血中あるいは尿中出現を見る. | |
腸管粘膜防御傷壁 | gut barrier function | ||
腸管バリアー機能 (腸管粘膜防御機能) |
gut barrier function | 腸管は多種のウイルス,細菌,有害異種蛋白の侵入門戸となるので,これらに対する防御機構を持っている.この機構は非免疫的障壁と免疫的障壁からなっている.腸粘液,分泌型IgA,腸細胞,細胞間接着,粘膜下の免疫担当細胞により構成されている. | |
腸間膜リンパ節 | mesenteric lymph node |
MLN | 腸管附属リンパ組織を構成し,腸管バリアー機能を担当している. |
長鎖脂肪酸 | long chain fatty acid | ||
長鎖脂肪 | long chain triglyceride | LCT | 炭素数が14~18の脂肪酸で構成される脂肪. |
腸粘膜萎縮 | intestinal mucosal atrophy |
飢餓時,化学療法時,ストレス時など,腸管内を通過する栄養素が不足すると腸粘膜が萎縮する.その結果,腸管のバリアー機能が低下し透過性が亢進して腸管内のバクテリアやトキシンが体内へ移動しやすくなる. | |
チロシン | tyrosine | Tyr | アミノ酸の一種. |
通常体重比 | usual body weight % | 実測体重値/健康時体重値×100.10%以上の減少は低栄養と見なされる. | |
低残渣食 | low residual diet | LRD | 自然食ミキサー食と成分栄養剤との中間的なもので,糞便中の残渣を減少させる経腸栄養剤.糖質としてデキストリン,窒素源としてカゼイン,脂肪として乳化中性脂肪などを用い,電解質,ビタミンを含む経腸栄養剤(食). |
低酸素血症 | hypoxemia | 血中酸素減少,動脈血中酸素飽和が正常以下であること. | |
低酸素症 | hypoxia | 呼気中,動脈血中あるいは組織中の酸素が正常レベル以下に減少すること. | |
低Na血症 | hyponatremia | ||
低分子ペプチド | small peptide | dipetide,tripeptide程度のペプチドの総称.oligopeptideと同義. | |
DAB誘発肝癌 | DAB‐induced liver cancer |
DABを長期間摂食させることにより発生する肝細胞癌. | |
TPP効果 | TPP effect | 患者溶赤血球のトランスケトラーゼ活性を測定し,その後にTPPを添加し,トランスケトラーゼ活性が上昇した場合にビタミンB1欠乏が疑われる. | |
デキストロース | dextrose | 六炭糖 | |
滴定酸度 | titratable acidity | 酸を中和するのに必要な塩基の量により決定される酸度. | |
転写 | transcription | ある種の核酸の遺伝暗号の情報が,他の種の核酸へ移されること.特にmRNAがRNAポリメラーゼによってDNAを鋳型とし,塩基配列の相補性によって合成される過程をいう. | |
転写因子 | transcription element | DNA上の特定のヌクレオチド配列に特異的に結合して,その部分の転写を促進させる蛋白質. | |
銅欠乏 | copper deficiency | 血漿銅値の低下を伴い,白血球好中球減少,血小板減少,貧血,骨折などの症状を呈する.銅を含まない長期のTPNに合併する. | |
糖新生 | gluconeogenesis | 炭水化物では無い物質(蛋白や脂肪)よりグルコースを産生すること. | |
特異動的作用 | specific dynamic action |
消化吸収や静脈内への新しいエネルギー基質の流入によって引き起こされた代謝への刺激による余分なエネルギー消費.全エネルギー消費の5~10%にあたる. | |
トランスケトラーゼ活性 | transketrase activity | 五炭糖リン酸回路で炭素を移動させる酵素.活性型ビタミンB1がその際に補酵素として働き.活性型ビタミンB1が不足するとこの活性が低下するので,相対的B1欠乏を発見するのにこのトランスケトラーゼ活性を測定することが勧められている. | |
トランスホーミング 増殖因子β-1 |
transforming growth factor β-1 |
TGF -β1 |
他のサイトカインと干渉するような多機能性をもったサイトカイン.血小板や骨細胞によって産生されるが,多くの他の細胞株によっても産生される.創傷治癒過程において線維芽細胞や血管内皮細胞の遊走や増殖に促進的に働く. |
トリグリセリド | triglyceride | TG | triacylglycerol,三つの水酸基の各々が脂肪酸でエステル化されたグリセロール. |
トリプトファン | tryptophan | Try | アミノ酸の一種. |
トレースアミン | trance amines | 生体内にごく微量含まれるアミンのこと.アミンはアミノ酸から脱カルボキシ反応によりつくられる.代表的なアミンとして,カテコーラミン,セロトニン,ヒスタミン等があるが,これらのものは産生量も多くトレースアミンと呼ばない. | |
トレオニン | threonine | Thr | アミノ酸の一種. |