2 代謝・栄養・侵襲 用語ガイドライン
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目 次 |
和文表記 | 英文表記 | 略語 | 解 説 ・ 備 考 |
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【あ行】 | |||
亜鉛 | zinc | Zn | 原子番号30,原子量65.38.金属元素.亜鉛を含む塩の多くは薬品として用いられる. |
亜鉛欠乏症 | zinc deficiency | 亜鉛を含有しない静脈栄養や経腸栄養の施行,亜鉛を高濃度に含有する膵液などの消化液喪失によりおこる.脂漏性湿疹様皮疹,下痢,味覚喪失,口内炎,リンパ球減少,アルカリフォスファターゼの低下などを呈する.自然食品の摂取で栄養がまかなわれている場合には通常発症しない. | |
悪液質 | cachexia | 悪性腫瘍の増殖・進行に伴って生じる慢性あるいは亜急性の栄養障害状態.食欲の低下とともに筋蛋白の崩壊,体脂肪の異化亢進を認め,貧血,電解質異常や浮腫を生じる.悪液質をおこす原因としては,腫瘍自体の発育による栄養素の搾取,腫瘍からの出血や蛋白漏出,腫瘍の存在による消化・吸収障害に加え,サイトカインの関与などが考えられている. | |
アゴニスト | agonist | 受容体と結合してその変化をもたらし,細胞内情報伝達機構を介して種々の生理作用を示す物質. | |
アシドーシス | acidosis | Asn | 生体内にpHを下げる異常な病態が存在する状態.HCO3ー の喪失,H + の排泄障害や産生亢進による代謝性アシドーシスと,PCO2の上昇によって起こる呼吸性アシドーシスに分類される. |
アシルCoA | acyl coenzyme A | 補酵素AのSH基にアシル基が結合した化合物.アシル基とは,カルボン酸RCOOHのカルボキシル基-COOHからOHを除いた残りの原子団RCO-の総称.ここでRは炭化水素基.アシル基にはアセチル基,ベンゾイル基,アロイル基などがある. | |
アスパラギン | asparagine | 非必須アミノ酸の一つで分子量は132.12.アスパラギン酸のβ-アミド.生体内では,アスパラギン酸,アンモニア,ATPより合成される. | |
アスパラギン酸 | aspartic acid | Asp | 非必須アミノ酸の一つで分子量は133.10.アスパラギンの加水分解によって得られる.TCA回路とオルニチン回路の両方に連結する代謝上重要なアミノ酸である.また,核酸の構成成分であるプリン,ピリミジンの前駆体となる.そのほか補酵素acetyl(CoA)の前駆体となり,アラニンの生合成にもあずかっている. |
アセチル化 | acetylation | アシル化の一つで有機化合物中の水酸基-OHやアミノ基-NH2の水素原子がアシル基の1種であるアセチル基CH3CO-によって置換される反応をいう.アミンの窒素原子と結合している水素原子や,アルコールおよびフェノール中の酸素原子と結合している水素原子はとくにアセチル化を受けやすく,これらを区別するために各々をN-アセチル化,O-アセチル化と称することがある. | |
アセチルCoA | acetyl coenzyme A | 補酵素AのSH基と酢酸のカルボキシル基がチオエステル結合したもの.グルコースおよび脂肪酸の代謝によって供給される.糖質,脂質,アミノ酸の代謝に関与し,脂肪酸やステロールの生合成に用いられる.アセチル化剤としてアセト酢酸,アセチルコリン,アセチルスルファニルアミド,N-アセチル糖などの合成に関与するとともに,ペプチド鎖のN-末端のアセチル化によるクエン酸回路の入り口となる物質でもあり,アセチル補酵素Aとオキザロ酢酸が反応して,クエン酸と補酵素Aが形成される. | |
アセトン | acetone | アセト酢酸の脱炭酸による生成物. | |
アナフィラキシー | anaphylaxis | すでに感作されている物質に再び曝露された時,主にIgE抗体を介する免疫学的抗原抗体反応により肥満細胞や好塩基球からヒスタミンやロイコトリエン,プロスタグランジンなどの化学伝達物質が放出され,即時型の全身反応が急激に起こる病態. | |
アニオンギャップ | anion gap | AG | 陰イオンのうち通常の臨床検査で測定されない燐酸,硫酸,有機酸,陰性荷電した蛋白などの総和.簡易的に次の式により算出される.(1)AG=Na + -(Cl - +HCO3- )(2)AG=(Na + +K + )-(Cl - +HCO3-) |
アポ蛋白 | apoprotein | アポ酵素と同義語.酵素の担体をなす蛋白質成分で,これに補酵素coenzymeを加えると全酵素holoenzymeとして作用する. | |
アポトーシス | apoptosis | 外界からの刺激による細胞障害の結果として,あるいは個体の成長や維持に必要なプログラムされた結果として,特徴的な形態学的変化を伴う細胞の死滅で,生じたアポトーシス小体は,周囲の細胞に速やかに貪食される. | |
アポリポ蛋白 | apolipoprotein | リポ蛋白の構成成分.A-1,A-2,B-48,B-100,C-1,C-2,C-3,Eなどがあり,様々な割り合いのトリグリセリド,コレステロール,リン脂質とともに各種のリポ蛋白を構成する. | |
アミノ酸 | amino acid | 1分子内にアミノ基とカルボキシル基をもつ有機化合物の総称.蛋白質の基本構成単位.蛋白質から分離されたアミノ酸は,ほとんどがアミノ基とカルボキシル基とが同じ炭素原子に結合し,一般式R-CHNH2-COOHで示されるα-アミノ酸である.Rは脂肪族,芳香族,複素環式の置換基を示す.アミノ基が順次,隣の炭素原子に移るにつれてβ-アミノ酸,γ-アミノ酸,δ-アミノ酸と称されるが,一般にアミノ酸といえばα-アミノ酸をさす.自然界で発見されているアミノ酸数は360以上.アミノ酸には,L型とD型の二種の光学異性体が存在するが,天然のアミノ酸は全てL型.ヒト蛋白質を構成する主要アミノ酸は,脂肪族アミノ酸,芳香族アミノ酸,複素環式アミノ酸に大別される.脂肪族アミノ酸にはグリシン,アラニン,バリン,ロイシン,イソロイシン,セリン,トレオニン,アスパラギン酸,グルタミン酸,アスパラギン,グルタミン,リジン,ヒドロキシリジン,アルギニンがある.芳香族アミノ酸にはフェニルアラニンやチロシンがあり,複素環式アミノ酸としてはトリプトファン,ヒスチジン,プロリン,ヒドロキシプロリンなどがある.これらに加え,含硫アミノ酸にシステイン,シスチン,メチオニンが分類される. | |
アミノ酸インバランス | amino acid imbalance | アミノ酸混合物において,あるアミノ酸の過不足によって悪影響を生じる栄養上の現象で,原因アミノ酸の補正によって回復する範囲のものをいう. | |
アミン | amine | アンモニア(NH3)のHを炭化水素基で置換した化合物の総称.生体アミンとしてはチラミン,ノルアドレナリン,ヒスタミン,セロトニンなどがある.一般にアミンには生物学的作用の強力なものが多い. | |
アラニン | alanine | Ala | α-アラニンは非必須アミノ酸の一つで分子量89.09.生体内ではピルビン酸から合成され,このピルビン酸を経てTCA(トリカルボン酸)回路に通ずる.β-アラニンの分子量は89.09でタンパク質中には存在しない.パントテン酸,カルノシン,アンセリン,補酵素Aの構成成分として存在するほか,マメ科植物の根粒やイヌ,ブタ,ウシなどの大脳に遊離の状態で存在し,生物学上重要なアミノ酸である. |
アラニン-グルコース サイクル |
alanine‐glucose cycle | glucose‐alanine cycle(可)グルコースの解糖によって生じたピルビン酸が筋肉内でグルタミン酸と反応してアラニンとなる.筋から放出されたアラニンは肝に取り込まれ,糖新生の基質となる.肝で新生されたグルコースは筋肉に取り込まれてピルビン酸に代謝され,アラニンの合成が続くことになる.これをalanine‐glucose cycleと称する. | |
アルカリ性血症 | alkalemia | 血液pHが上昇し,おおよそ7.50以上になった状態.アルカリ性血症ともいう. | |
アルカローシス | alkalosis | 生体内にpHを上げる異常な病態が存在する状態.HCO3-の排泄障害もしくはH + の喪失による代謝性アルカローシスと,PCO2の低下によって起こる呼吸性アルカローシスに分類される. | |
アルギニン | arginine | Arg | 非必須アミノ酸の一つで分子量は174.21.グアニジノ基を有するために強塩基性を示す.尿素回路の構成成分であり,シトルリンとアスパラギン酸から生成され,アルギナーゼの働きによって尿素とオルニチンに分解される.アンモニアや大量のアミノ酸の毒性に対し解毒作用を有する.脳組織にはアルギナーゼが存在し,γ-グアニジノ酪酸の前駆体であるアルギニンの量を調節している.食品タンパク質としては動物性タンパク質,とくに魚類の白子に多く,また穀類タンパク質にも相当量含まれており,栄養的に不足することはない.なお,グリシンと結合してグリコシアミンとなり,Sアデノシルメチオニンからメチル基を受けてクレアチンを生成する. |
アルドステロン | aldosterone | 副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一つで,鉱質コルチコイドの代表である.腎における水とNaの再吸収とKの排泄を促す.レニン-アンギオテンシン系によって産生分泌が亢進する. | |
アンジオテンシン | angiotensin | アンギオテンシン(可)動物種によって多少配列の異なるデカペプチド.通常アンジオテンシン1をさす.血管収縮作用を有する.デカペプチド-テトラペプチドであるアンジオテンシノーゲンから酵素作用を有するレニンの働きによってアミノ酸残基4個が除去されてつくられる.ペプチターゼがさらに2個のアミノ酸残基を除去し,強力な昇圧作用を有し副腎におけるアルドステロンの生成,遊離を刺激するオクタペプチド,アンジオテンシン2となる. | |
安静時エネルギー 消費量 |
resting energy expenditure |
REE | resting metabolic expenditure(RME).BEE測定の条件を満たさない条件下で測定されたエネルギー消費量.BEEとの差は3%以内と言われている.実用的にはREEとBEEはほぼ等しいと考えて良い. |
アンタゴニスト | antagonist | 受容体に結合し,アゴニストの効果を阻害するが,それ自体は受容体と結合しても阻害効果を発揮できない物質. | |
インスリン様 成長因子1 |
insulin‐like growth factor-1 |
IGF-1 | ソマトメジン-C(somatomedin‐C)-growth factorの一つである.成長ホルモン分泌に鋭敏に反応して諸臓器で産生される.蛋白合成を促進して蛋白分解を抑制するといわれており,臨床応用も試みられている. |
胃管排出能 | gastric tube emptying | Ile | 食道亜全摘後に再建臓器として用いられた胃管の排出能,胃管内への食物停滞は,良好な栄養状態維持に不利益を及ぼす. |
イソロイシン | isoleucine | 必須アミノ酸の一つ.食品タンパク質に広く分布するため欠乏することはない.イソロイシンは,体内でαメチルアセトアセチル補酵素Aを経て,プロピオニル補酵素Aとアセチル補酵素Aに変化する. | |
一酸化窒素 | nitric oxide | NO | 血管内皮細胞やマクロファージなどで一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase:NOS)により,L-アルギニンから産生される.NOSには,血管内皮細胞に常在するcNOS(constitutional NOS)と血管内皮細胞やマクロファージにより侵襲時にサイトカイン等によって誘導されるiNOS(inducible NOS)とがある.NOには神経伝導,血管拡張,血小板凝集の抑制など多彩な作用がある.吸入させ,気道に投与すると肺血管の収縮を抑制する効果も得られ,臨床応用もなされている. |
胃瘻 | gastrostomy | 胃の内腔と腹部皮膚との間に人工的に作成された交通.主として栄養の投与経路として使用される.開腹下に造設する方法と内視鏡を用いて作成する方法とがある. | |
陰イオン | anion | 中性の原子または原子団に整数個の電子が加わったもの. | |
インスリン | insulin | 膵ランゲルハンス島のβ細胞より分泌されるホルモン,S-S結合を一つ持ちアミノ酸21個からなるA鎖と,アミノ酸30個からなるB鎖が二つのS-S結合で結合した分子量5734のポリペプチド.一本のポリペプチドとして合成され,その後C鎖が切断されて前述した活性型となる.細胞内へのブドウ糖の取り込みを促す作用を有する.生体内において血糖を降下させる唯一のホルモン.インスリンの欠乏や組織のインスリンに対する反応性の低下は高血糖状態,いわゆる糖尿病を引き起こす.糖尿病下の細胞内はブドウ糖欠乏状態となり,エネルギー供給源をタンパク質,脂肪に依存するようになる.その結果,タンパク質からの糖新生,脂肪の異化亢進,高脂血症が惹起され,血管系病変を中心とした数々の合併症をもたらす. | |
インスリン感受性 | insulin sensitivity | インスリン受容体の結合部位数の増減などによるインスリンに対する反応の度合い. | |
ウイルス感染 | viral infection | 生体内に侵入したウイルスにより細胞障害,組織障害がおこり,局所的あるいは全身的な悪影響が生ずること. | |
ウロン酸 | uronic acid | アルデヒド基とカルボキシル基とをもつ糖の誘導体の総称で,天然にはグルクロン酸,マンヌロン酸,ガラクツロン酸,L-イズロン酸の4種が存在する.D-グルクロン酸はD-グルコースのウロン酸に相当するもので,コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類の構成成分である.また,種々の化合物と抱合してその解毒に与る.D-マンヌロン酸はアルギン酸中に,D-ガラクツロン酸はペクチン中に,L-イズロン酸はヘパリンなどに存在する. | |
ウロン酸経路 | uronic acid pathway | グルクロン酸回路の別名. | |
エイコサペンタエン酸 | eicosapentaenoic acid | EPA | 不飽和脂肪酸の一つで,油状の液体.サケ,サバ,イワシなどの魚油中に多く含まれる.虚血性心疾患の発生率が低いエスキモーで血中の脂肪酸を調べると,白人に比べてアラキドン酸(エイコサテトラエン酸)が少なくEPAが多いことが1976年に報告され,寒帯に住む脂肪分の多い魚を多量に食べる集団でも,同様の結果が得られた.その後EPAに血小板凝集抑制作用のあることが認められ,動脈硬化症予防の観点から注目されている. |
栄養管理チーム | nutritional support team |
NST | 栄養評価,栄養治療の対象となる患者は,外科,内科,小児科のみならず,ほとんどの診療科に存在する.診療科横断的な中央システム管理によって,これら院内患者すべてに静脈栄養,経腸栄養を行い,さらに在宅栄養管理中の患者の管理にもあたるチームをNSTと呼んでいる.医師,看護婦,薬剤師,事務職員などで構成する.現在のところ,わが国では,本システムはあまり普及していない. |
栄養欠乏 | nutritional deficiency | 栄養(素)の摂取量がその需要を満たしていない状態.全般的な栄養摂取量不足によるもの(protein‐calory malnutrition)と特定の栄養素の不足に分けられる. | |
栄養指数 | nutritional index | 栄養状態を総合的に数値化したもの. | |
栄養失調 | malnutrition | 慢性あるいは亜急性のエネルギー欠乏状態. | |
栄養指標 | nutritional parameter | 栄養状態の評価に用いられる変数. | |
栄養障害 | nutrition(al) disorder | nutritional disturbance(可)比較的軽度の栄養失調. | |
栄養所要量 | dietary allowance | 健康な生活をおくるために一日に摂取する事が望ましい栄養量. | |
栄養評価 | nutritional assessment | 栄養アセスメント(可)臨床データ,食物摂取データ,身体組成データ,生化学データを収集し,栄養不良状態の患者を判定して適切な栄養療法を計画すること. | |
栄養補給部門 | nutritional support service |
NSS | 上記のNSTが所属する部門をNSSと呼ぶ. |
液性因子 | humoral factor | humoral mediator(可)血漿中に存在する可溶性の生理活性物質.しばしばサイトカインを指す言葉として使用される. | |
エネルギー消費量 | energy expenditure | 単位時間内(通常一日)に消費された熱量の総和. | |
エネルギー出納 | energy balance | 単位時間内に生体内に摂取された栄養の総熱量から消費された総熱量を差し引いたもの. | |
エネルギー代謝 | energy metabolism | 熱量を産生する物質代謝の総称. | |
LEC ラット | Long Evans Cinnamon rat |
LEA(Long Evans Aguti)ラットから自然突然変異で(LEC)生じたもので肝炎を自然発生,約半数は死亡,生存群ではその後肝癌を発症する. | |
塩基 | base | 酸の性質を打ち消す性質をもつ物質.酸に電子対を与えて酸と共有(配位)結合をつくる物質. | |
塩基過剰 | base excess | BE | 代謝性アルカローシスとほぼ同義.一次的に血漿HCO3-値を上昇させるプロセスが存在している病態. |
塩基欠乏 | base deficit | 代謝性アシドーシスとほぼ同義,一次的に血漿HCO3-値を低下させるプロセスが存在している病態. | |
炎症性サイトカイン | proinflammatory cytokine |
生体に加えられた侵襲に引き続いて単球やマクロファージ,好中球,リンパ球,血管内皮細胞などから放出され,炎症反応を惹起するサイトカイン.IL-1,IL-6,TNF-αなどがある. | |
炎症性腸疾患 | inflammatory bowel disease |
IBD | 慢性非感染性非特異性腸炎の総称でceliac sprue,潰瘍性大腸炎,Crohn病,放射線照射性腸炎の慢性型,Whipple病などが含まれる.しばしば潰瘍性大腸炎とCrohn病の二者を指す言葉として使用される. |
塩素移動 | chloride shift | 塩素イオン移動とも言われる.赤血球中の炭酸デヒドラターゼにより血中のCO2はCO2+H2O H2CO3の反応で速やかに炭酸となり,その大部分が解離してH++HCO3+となる.血中の主要緩衝系であるヘモグロビン(Hb)は,H + +KHb HHb+K + の式に従ってH + を結合し,その結果HCO3-が遊離する.これは赤血球膜を通って血漿中に拡散していくが,赤血球内の電気的中性を維持するために血漿中から同モルの塩素イオン(Cl - )が赤血球膜を通って細胞内に入っていく.赤血球膜を通るHCO3-と塩素イオンの間の交換が塩素移動と呼ばれる.これにより静脈赤血球中の塩素イオン濃度が動脈赤血球中より高くなる.また,この反応により血液によるCO2輸送の70%が行われる. | |
エンドトキシン | endotoxin | 内毒素.周囲の培地に自由に放出されない細菌毒素.リン脂質と糖類の高分子複合体で,グラム陰性菌の細胞壁の構成成分.比較的耐熱性があり多くの外毒素(exotoxin)より毒力が弱く特異性もない.生体に投与すると下痢,白血球増多から白血球減少,発熱,血圧低下を引き起こす. | |
エンドトキシン血症 | endotoxemia | 内毒素が循環血液中に侵入した状態.グラム陰性菌の感染に起因する.内毒素の侵入門戸としては尿路,胆道,腹腔内感染巣などが多い.しばしば菌体そのものの侵入を伴う.発熱,悪寒,戦慄を伴って急激に発症し,急性の循環不全(ショック)から多臓器不全(multiple organ failure,MOF),DIC(disseminated intravascular coagulation)を併発しやすい.二次的に脳膿瘍,化膿性関節炎,骨髄炎など転移多発性膿瘍を形成することがある. | |
塩類欠乏 | salt deficiency | 電解質,とりわけNa,Cl,Kの不足状態.摂取量の不足や異常な喪失によって引き起こされる.塩類の異常喪失を惹起する病態には下痢や嘔吐,消化管瘻,リンパ瘻,ホルモン異常,ホルモン様物質産生腫瘍などがある. | |
塩類欠乏性脱水症 | salt deficit dehydration | Na欠乏性脱水症(可)水の欠乏量相当以上にNaの喪失がある脱水.NaCl0.5g/kg以上の欠乏.血清Na濃度は低下して低張性となり,水分は細胞外から細胞内に移動して細胞外液量は一層減少する.血漿浸透圧の低下はADHの分泌を抑制するために尿量は減少せず,細胞外液量はさらに減少して早期より循環不全を呈する.検査上血液濃縮のためヘマトクリット値の上昇がみられ,細胞外液量減少のための症状が強く認められるが,口渇は軽度である.細胞内への水の移動のため,脳浮腫など細胞内水中毒の症状を呈する. | |
オキシダーゼ | oxydase | 広義には,生物体内にあって酸化反応を触媒する酵素の総称.酸化酵素.狭義には,このうち分子状酸素を直接水素受容体として基質を酸化する酵素.現在では,国際的規約によりオキシダーゼという名称は後者の場合にのみ用いられる. | |
オキシダント | oxidant | 化学用語としては酸化作用をもつもの,すなわち酸化体のこと.現在では,大気中の窒素酸化物,炭素化合物が紫外線などによって複雑な化学変化をおこして生じた強い酸化性のある物質の総称としても使用される.光化学スモッグの原因として社会的問題にもなった. | |
汚染 | contamination | 汚れ染まること.大気や水系,土壌などの環境や建造物,種々の器具,生体表面,生体内などに放射性同位元素や化学物質を含む有害物質,病原微生物が混入・付着・侵入すること.生体に生じた病原微生物による汚染に引き続き,その増殖にともなって生体に不利益な事象が発生した状態を感染と称する. | |
汚染除去 | decontamination | 汚染を物理的,化学的,薬理学的手法によって取り除くこと. | |
オプソニン | opsonin | 細菌の表面に付着して食細胞に貪食されやすくする物質.補体がその役割を果たす. | |
オプソニン活性 | opsonic activity | オプソニン効果を発揮する能力. | |
オプソニン指数 | opsonic index | オプソニン活性の強弱を示すもの.対象(患者)血清でm個の白血球にK個の細菌が貪食され,健常血清はn個の白血球にN個の細菌が貪食されるとすれば,Kn/Nmがオプソニン指数である. | |
オメガ‐3脂肪酸 | ω‐3 fatty acid | n-3 fatty acid,n-3脂肪酸(可). | |
オリゴ糖類 | oligosaccharide | 二つないし六つの単糖がグルコシド結合をおこなったもの.二分子の糖の場合を二糖類(disaccharide),三分子の糖の場合を三糖類(trisaccharide)と称する. |