2 代謝・栄養・侵襲 用語ガイドライン
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目 次 |
和文表記 |
英文表記 |
略語 | 解 説 ・ 備 考 |
【か行】 | |||
カウプ指数 | Kaup index | 体重(g)/身長(cm)2×10 肥満指数. | |
核酸 | nucleic acid | ヌクレオチドの高分子ポリマーで塩基とペントースOOH基にエステル結合したリン酸とが結合して形成される.細胞性核酸はデオキシリボ核酸とリボ核酸がある.塩基組成はアデニン,グアニン,シトシン,ウラシル,チミンからなる. | |
核酸成分液 | nucleic acid solution | 静脈内投与を目的として開発中のヌクレオシド,ヌクレオチド混合液. | |
過剰栄養 | hyperalimentation | 必要とされる消費エネルギー以上の熱量を経静脈的あるいあは経腸的に投与すること. | |
かっけ・脚気 | beriberi | ビタミンB1欠乏により起こる.多発性神経炎性障害を特徴とする.ビタミンB1欠乏症として最初に捉えられた病態.1920年代の日本に多発した. | |
活性化エネルギー | activation energy | 分子が結合状態に入りやすくするために追加されなければならないエネルギー量.生体内では触媒と酵素が必要とされる活性化エネルギー量を減らして反応を容易にする役割をしている. | |
活性型B1 | thiamine pyrophosphate |
TPP | ビタミンB1は活性化されたチアミンピロリン酸となる.活性化ビタミンB1が不足するとピルベートデヒドロゲナーゼ活性が低下してピルビン酸からアセチルCoAへの代謝が阻害され,ピルビン酸-乳酸が蓄積して代謝性アシドーシスを引き起こす. |
カテーテル感染症 | catheter related infection |
カテーテル敗血症 catheter related sepsis カテーテル熱ともいう.TPN用カテーテル留置により発熱,白血球増多などの感染症状を呈すること. | |
カテコールアミン | catecholamine | カテコラミン(可). | |
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 | granulocytemacrophage colony stimulating factor |
GMCSF | マクロファージまたは骨髄ストローマ細胞から分泌される糖蛋白.顆粒球系,マクロファージ,好酸球などの骨髄球系前駆細胞の刺激因子として機能する. |
カロリー | calorie | 熱量の単位としてはkcal,kJ(joul).Calは用いない. | |
カロリー/N比 | Cal/N ratio | Cal/N | 1g窒素に対する熱量の割合.単位はkcal/g.総熱量か非蛋白熱量かを明記する. |
肝NK細胞 | liver natural killer cell | 肝に存在するナチュラルキラー細胞(NK細胞):NK細胞の項参照. | |
癌悪液質 | cancer cachexia | 担癌時に生じる蛋白熱量栄養不良状態をさす.栄養摂取の減少に加えて,癌組織からcachectin(悪疫質誘導物質)が分泌され筋肉や脂肪組織の萎縮が引き起こされる. | |
肝エネルギー代謝 | hepatic energy metabolism |
肝阻血時,再灌流時などの肝細胞の状態をATP,ADP,AMP,Pなどの組織(細胞)内濃度を測定して,エネルギーの蓄積状態から活性度を見ようとするもの. | |
間欠的 | intermittent | 間歇的(可). | |
間欠的完全静脈栄養 | intermittent TPN | 間欠的に静脈栄養を行う.休止期には輸液を投与しない. | |
間欠的高カロリー輸液 | intermittent hyperalimentation |
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肝硬変症 | liver cirrhosis | 結節再生,線維化,肝小葉構造の改築などを伴った肝実質性細胞の広範な損傷を特徴とする進行性の肝疾患. | |
肝再生 | hepatic regeneration | 肝切除後,肝細胞は活発に分裂増殖し,短期間に肝はもとの大きさに戻る.この現象を肝再生と言う.肝再生時にはTGF‐αやHGF等の増殖因子が産生される. | |
カンジダ抗原 | candida antigen | カンジダ感染症の発見のために行う血液検査で,菌体の発見に代えてカンジダ菌体の細胞質成分に含まれ,熱や酵素に感受性の易熱生/プロテアーゼ変性糖蛋白抗原を測定するもの.ラテックス凝集反応を利用してこれを検出するCand Teckキットなどがある. | |
間接熱量測定 | indirect calorimetry | 呼気中のCO2排泄量とO2消費量を測定し,安静時エネルギー消費量および呼吸商を算出するもの. | |
完全静脈栄養 | total parenteral nutrition |
TPN | 現時点で投与可能な全ての栄養素を含んだ輸液剤を用いて,他の栄養法を併用せずに必要な熱量を静脈内に投与する方法. |
肝マイクロフィラメント | microfilament in the liver |
微小管,中間径フィラメントと共に肝細胞の細胞骨格をなす.肝細胞の周辺を取り巻く他に,類洞側のDisse腔へ進展する微絨毛内とその基底部,細胞間接合部,毛細胆管微絨毛内とその周辺にあって胆汁分泌に関与すると言われる.構成成分としてアクチン,ミオシンが知られる. | |
含硫アミノ酸 | sulfer‐containing amino acids |
分子中に硫黄(S)を含むアミノ酸.cystein,cystine,methionineがこの仲間. | |
偽性腸閉塞 | pseudointestinal obstruction |
明らかな閉塞機転の無い慢性腸閉塞症. | |
D-キシロース 吸収試験 |
D‐xylose absorption test |
消化吸収試験の一つ.経口的に投与されたD-キシロースの尿中への排泄量を測定する. | |
基礎エネルギー消費量 |
basal energy expenditure |
BEE | basal metabolic rate(BMR).安静時基礎代謝に必要なエネルギー量.食事摂取から最低12時間以上経過しているときの安静臥床覚醒時の酸素消費量,二酸化炭素産生量より求める. |
基礎代謝量 | basic metabolic energy |
BME | 安静時に必要なエネルギー量. |
急性呼吸窮迫症候群 | acute respiratory distress syndrome |
ARDS | 従来はadult respiratory distress syndromeであったが,1992年のThe American‐European consensus conference on ARDSでadultからacuteに変更して統一することが決定された. |
急性相反応物質 | acute phase reactant | APR | 侵襲後の急性期に血液中に出現する物質(蛋白).代表的なものはCRPなどであり,IL‐6の作用により産生が誘導され,侵襲の指標となる.多くの物質は急性期に増加するが,逆に減少する物質もある. |
急性相蛋白 | acute phase protein | 急性相反応物質と同義語. | |
急性相蛋白反応 | acute phase protein response |
侵襲期に生じる急性蛋白合成亢進が生じ,緊急性のない蛋白合成が低下する減少をさす. | |
急性肺障害 | acute lung injury | ALI | 外傷や敗血症などによって肺の血管内皮細胞,肺胞壁の肺胞I型細胞が損傷され,急性の呼吸不全が生じるもの.その発生に好中球や肺胞マクロファージの関与が指摘されている. |
凝固因子 | coagulation factors | フィブリノーゲン,プロトロンビン,組織因子,Ca ++ ,V→XIII(VIは欠) | |
凝固線溶動態 | coagulation‐ fibrinolytic dynamism |
血液中にフィブリノーゲンが出現し,フィブリン形成に至るカスケード反応と,生成したフィブリンが蛋白分解酵素の作用によって溶解される系にあずかる諸反応物質の動き. | |
橋中心髄崩壊症 | central pontine myelinolysis |
CPM | 血清Naイオンの急激な上昇によって橋部を中心とした周辺の髄鞘が変性をきたし,意識障害と異常な精神症状を呈する疾患として報告されており,確定的な原因は不明. |
虚血 | ischemia | 血液供給の器質的障害による局所性貧血. | |
虚血・再灌流障害 | ischemia reperfusion injury |
虚血により低酸素状態におちいった組織に,再灌流により酸素が送り込まれることで,急速に非可逆性の組織障害が生じる現象. | |
虚血性低酸素症 | ischemic hypoxia | 組織の酸素不足を特徴とする組織低酸素.動脈あるいは小動脈の閉塞,あるいは動脈収縮のために起こる. | |
魚油 | fish oil | 魚から取れる油で,長鎖の多価不飽和脂肪酸,特にエイコサペンタエン酸を始めとするω-3系脂肪酸を高濃度に含む. | |
菌血症 | bacteremia | 循環血液中に生菌が存在すること. | |
クッファー細胞 | Kupffer cell | KC | 肝類洞の内皮細胞で著明な貪食能と負電荷膠質吸収性を有する. |
グリシン | glycine | Gly | アミノ酸の一種. |
グルコース | glucose | ブドウ糖(可).デキストロースも使われる. | |
グルタチオン | glutathione | 3個のアミノ酸(cystein,glutamic acd,glycin)を内蔵する硫化トリペプチド.動物,植物細胞に非常に広く分布しており,SH基を持つために細胞内の酸化還元反応を調節し,呼吸による酸化反応鎖に寄与する. | |
グルタミン | glutamine | Gln | グルタミン酸のγ-アミド体で血中におけるアンモニア輸送の主要形態である.グルタミン合成酵素によりアンモニアとグルタミン酸から合成され,肝および腎臓ではグルタミナーゼの作用によりアンモニアを放出する.小腸のエネルギー源であり,筋肉から肝への窒素の輸送に関与している. |
グルタミン酸 | glutamic acid | Glu | アミノ酸の一種.グルタミンの合成に関与. |
クレアチニン身長指数 | creatinine height index | 栄養指標の一つ.標準身長当たりの24時間尿中クレアチニン排泄量(基準値)に対する患者の24時間尿中クレアチニン排泄量の比率%で表したもの. | |
グルコース トランスポータ |
glucose transporeter | GLUT | 細胞膜に存在しグルコースの細胞内取り込みとGLUT放出を担う輸送単体.GLUT1-5タイプが存在し,局在する細胞が異なっている.GLUT4はインスリン反応性である. |
経管栄養 | tube feeding | チューブを用いて経腸栄養を行うこと. | |
経口栄養 | oral feeding | 口から栄養を摂取することだが,広い意味で経腸栄養に含まれることもある. | |
経口免疫応答 | oral immunization | 経口的に投与された抗原物質に対する特異的免疫応答.抗原はパイエル板のリンパ球に認識され,腸管局所の免疫機構が活性化される.感作されたリンパ球は体内を循環した後,腸管に戻って粘膜固有層で抗体産生(主としてIgA)を行う. | |
経腸栄養 | enteral nutrition | EN | 消化管を通して栄養投与を行うこと.広義には経口栄養を含む. |
経腸栄養剤 | 咀嚼を要しない経腸栄養用製剤. | ||
経皮内視鏡的 胃瘻造設術 |
percutaneous endoscopic gastrostomy |
PEG | 内視鏡にて胃内腔を観察,位置を同定し,ここに上腹部から経皮的にガイドワイヤーを胃内に挿入,これに口から挿入した胃瘻チューブをつなぎ,胃壁,皮下,皮膚を通し体外に誘導,胃瘻を作成する方法. |
外科侵襲 | surgical stress | 外科的処置により生体に加わる侵襲.手術侵襲ともいう. | |
血液凝固系 | blood coagulation system |
血管の損傷が生じた後,フィブリンの形成により血液凝固が完成して止血栓が形成されるまでのカスケード反応.10種類ほどの成分が関わる蛋白分解反応であり,内因系と外因系の二つの反応系がある. | |
血液凝固線溶系 | blood coagulation/ fibrinolytic system |
血液を凝固する凝固系と血液を溶かす線溶系のバランスが保たれることにより,血液の流動性が維持されている.線溶系の異常があれば凝固が亢進し血栓を形成しやすくなり,凝固系の異常があれば線溶が亢進して止血が困難となる. | |
血漿アンギオテンシン 変換酵素活性比 |
plasma angiotensin converting enzyme activity ratio |
ACE比 | 亜鉛欠乏状態の指標に用いられる. |
血漿DOA活性 | plasma diamine oxidase activity |
血漿中の活性が小腸粘膜の増殖と健全性の指標となる. | |
血小板由来成長因子 | platelet‐derived growth factor |
PDGF | 血小板のalpha‐granuleにあって平滑筋細胞や線維芽細胞の増殖を促進させる物質として発見された.BALB/c3T3細胞培養では単独では作用せず,EGFやIGF1の存在下に細胞分裂を刺激する. |
血漿遊離アミノ酸 | plasma free amino acids |
アルブミン等の輸送蛋白に結合していないアミノ酸. | |
血栓性静脈炎 | thrombophlebitis | 血栓を合併した静脈の炎症. | |
抗炎症性サイトカイン | anti‐inflammatory cytokines |
炎症に際して増加する炎症性サイトカインに対して,炎症に抑制的に働くサイトカイン(IL-10など). | |
高カロリー輸液 | intravenous hyperalimentation |
IVH | 糖質,アミノ酸,電解質を含む栄養液を通常の消費エネルギーと同等あるいはそれ以上の熱量で経静脈的に投与する方法. |
構造蛋白 | structural protein | 組織を構成する蛋白で,例えば骨格筋ではミオシン,アクチン,トロポニンT等が含まれる. | |
高速液体クロマト グラフィー |
high‐performance liquid chromatography |
HPLC | 溶液中の物質混合物の分離定量に用いる.サンプルをカラムおよび検出器と移動する溶液移動相に注入する.分離はカラム通過時に吸着,分配,イオン交換,サイズ排除によって起こる. |
好中球 | neutrophil granulocyte | 顆粒球で,幾つかに分葉した核を持ち,サイトカインとしてロイコトリエンを産生する. | |
好中球エラスターゼ | polymorphonuclear neutrophil elastase |
PNE‐E | 好中球は組織障害因子のmediatorの一つとして強力な中性蛋白分解酵素であるエラスターゼを持っている.このエラスターゼは,炎症や敗血症の病態に関与している. |
好中球エラスターゼ 阻害剤 |
polymorphonuclear neutrophil elastase inhibitor |
好中球エラスターゼ阻害作用をもつ物質.生体内にはアルファー2マクログロブリンとアルファー1プロテアーゼインヒビターが存在し,薬剤としてはウリナスタチンがエラスターゼ阻害作用を有している. | |
高分子栄養剤 | polymeric diet | 加水分解処理を受けず天然の蛋白や炭水化物のみで構成される栄養剤. | |
呼吸商 | respiratory quotient | RQ | 呼吸による単位時間当たりの二酸化炭素排泄量と酸素摂取消費量の容積比.代謝物質により値が異なる. |
五炭糖リン酸回路 | hexose monophosphate pathway |
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コレシストキニン | cholecystokinin | CCK | ポリペプチド性小腸ホルモン.十二指腸および上部小腸に分布するI‐cellから分泌されneurotransmitterとして胆のうに直接作用してその運動を高める.膵臓に対しては膵液分泌刺激を有する. |
コンドロイチン硫酸鉄 コロイド |
chondroitin sulfate iron colloid |
負の電荷を帯びた安定したコロイド粒子で,異物として認識された細網内皮系で貪食されるため,細網内皮系の機能評価に用いられる. | |
コンドロイチン硫酸鉄 コロイドテスト |
chondroitin sulfate iron(CSFe)colloid test |
細網内皮系(RES)細胞の貪食機能の検査法として検討されている方法である. | |
コンパートメントモデル | compartment model | 糖,アミノ酸などの栄養基質の体内動態を評価する際,それぞれがプールされる分画をモデルとして,そのプールに出入りする物質の速度と量を測定してそれぞれの基質の合成速度,分解速度などを算出する. |