2 代謝・栄養・侵襲 用語ガイドライン
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目 次 |
和文表記 |
英文表記 |
略語 | 解 説 ・ 備 考 |
【は行】 | |||
ハーゲマン因子 (第XII因子) |
Hageman factor | 内因系凝固反応の初期に異物面と接触して凝固を引き起こす接触因子の一つで,XIIaはXI因子やVII因子を活性化すると同時にキニン系のプレカリクレインをカリクレインとする. | |
敗血症 | sepsis | 感染に対する全身性炎症性反応で,SIRSと同一の診断基準を満足するもの,すなわち,sepsisは感染によるSIRS. | |
敗血症性ショック | septic shock | 重症セプシスの一分症(subset).適切な補液でも持続する血圧低下(収縮期血圧<90mmHgまたは平時の収縮期血圧より40mmHg以上の血圧低下)で,sepsisに合併するもの.血管作動薬使用により血圧が維持されている場合でも,臓器機能障害・循環不全(乳酸アシドーシス,乏尿,急性意識障害など)があれば,septic shockとする. | |
バクテリアル トランスロケーション |
(gut)bacterial translocation |
BT | 正常の消化管粘膜から生菌が腸間膜リンパ節あるいは門脈,さらにそれ以遠へ移行すること.エンドトキシンなど菌体成分の一部や真菌の侵入など,microbial translocationと呼称される概念も含めて広義に解釈される. |
播種性血管内凝固 症候群 |
disseminated intravascular coagulation |
DIC | 種々の基礎疾患の存在下に血液凝固系が活性化されることにより全身の微小血管内に血栓が形成され,その過程において凝固因子や血小板が消費される症候群.血液凝固異常すなわち,出血傾向とともに,微小血栓による臓器循環不全がもたらされる. |
白血球凝集 | leukocyte aggregation | 血管内皮障害による接着分子(E-セレクチンなど)の発現を介して活性化白血球のtethering,rollingおよびadhesionが惹起され,白血球が凝集し血管外へ遊走する. | |
発熱物質 | pyrogen | 体温上昇を起こす物質.免疫系の細胞で産生される炎症性サイトカイン〔interleukin(IL-1,IL-2,IL-6),interferon(IFNα,γ,tumor necrosis factor(TNFα,β),GM‐CSF,macrophage inflammatory protein-1(MIP-1)など). | |
ハプテン | hapten | 単独では抗体を産生できないが,特異抗体との結合は可能な抗原. | |
バリン | valine | Val | 必須アミノ酸の一つで,分岐鎖アミノ酸に分類される. |
半減期 | half‐life | 放射性物質の放射能が崩壊によって元の値の半分に減じるのに要する時間. | |
半減期 | half‐time | 化学反応あるいは酵素反応の一次反応において,物質(基質)の半分が変化または消失する時間. | |
半消化態栄養剤 | semidigested diet | 自然食を人工的に処理した高エネルギー,高蛋白のある程度消化された形の栄養剤で,窒素源が蛋白質あるいはカゼイン,脂肪含有量が比較的多いことが消化態栄養剤と異なる. | |
ピーシーアール | polymerase chain reaction |
PCR | 極微量のRNAあるいはDNAを特異的に増量させる方法. |
ひきがね | trigger | 比較的小さい入力により比較的大きい出力をもたらす装置や道具などを表す語から転じて,ある病態を増幅させる生理的誘因. | |
非経口栄養 | parenteral feeding | 胃腸管または肝を通過する以外の方法によって栄養物質を生体内に投与すること.通常,静脈内注射をいう. | |
非経口投与 | parenteral administration |
胃腸管または肝を通過する以外の方法によって物質を生体内に導入すること.すなわち,静脈,皮下,筋肉,骨髄内注射をいう. | |
非必須アミノ酸 | non‐essential amino acid |
NEAA | 生体によって合成できるので,食事によって摂取しなくても良いアミノ酸.ただし,年齢や病態により一部の非必須アミノ酸が必須アミノ酸となる. |
非侵襲的モニタリング | non‐invasive monitoring |
皮膚の貫通を要する装置の挿入を含まない生体情報監視装置. | |
ヒスチジン | histidine | His | 塩基性アミノ酸で非必須アミノ酸. |
微生物 | microorganism | 単一の細胞またはそれに近い簡単な形態の微小な生物群を指す.病原微生物は,原虫,真菌,細菌,リケッチア,ウイルスなどに分類される. | |
微生物フローラ | microbial flora | 個体内に棲息する種々の微生物.たとえば,腸内ではintestinal flora,口腔内ではoral flora. | |
非代償性アシドーシス | uncompensated acidosis |
正常の酸塩基平衡の回復が不可能または不十分のため,体液のpHが正常値以下となる状態. | |
ビタミンB1欠乏性 アシドーシス |
vitamin B1 deficiency induced metabolic acidosis |
ビタミンB1はピルビン酸脱水酵素の補酵素であるチアミンピロリン酸の前駆体であるため,ビタミンB1欠乏下ではピルビン酸からアセチルCoAへ代謝されにくくなり,大量の糖を投与するとピルビン酸から乳酸へ代謝され,乳酸アシドーシスを引き起こす. | |
非蛋白性カロリー 窒素比 |
non‐protein calorie nitrogen ratio |
NPC/N | アミノ酸を効率よく蛋白合成に向かわせるための糖・脂肪カロリー投与量と窒素投与量の比.適正比は,150~200. |
非蛋白熱量 | non‐protein calorie | 栄養素のうち,エネルギー源としての糖・脂肪のカロリー量. | |
必須アミノ酸 | essential amino acid | EAA | 動物によって生合成できないαアミノ酸で,遊離アミノ酸あるいは蛋白質として食事によって摂取しなければならないもの. |
必須脂肪酸 | essential fatty acid | 不飽和脂肪酸のうち,生体内で合成されない多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty asids;PUFA)を必須脂肪酸といい,メチル基から最初の二重結合の位置より,ω3(n-3)系(リノレン酸など),ω6(n-6)系(リノール酸,アラキドン酸など)の2種類に分けられる.成長,生殖,健康の維持に必須であり,とくにω3(n-3)系は予防医学面でも応用されている. | |
必要栄養量 | nutritional requirement | 生命を維持し,健康な日常生活を営むため,また成長,発育を達成するために必要な摂取すべき栄養量.日本人の栄養所要量は,最低必要量に多少の安全率を加味して5年毎に改訂されている(厚生労働省保健医療局健康増進栄養課編「日本人の栄養所要量」). | |
非必須アミノ酸 | non‐essential amino acid |
NEAA | 動物が必要とするアミノ酸のうち,体内で合成できるもの. |
非必須脂肪酸 | non‐essential fatty acid |
飽和脂肪酸および二重結合を一つ持つ不飽和脂肪酸は生体内で合成されるため,摂取量が不足しても欠乏症状は出現しない. | |
肥満脂数 | obesity index | {(体重-標準体重)/標準体重}×100.体脂肪量を表す簡便式. | |
病因 | etiology | 疾患あるいは病的過程の起源あるいは進行の様式. | |
病原体 | pathogen | 疾病を起こす微生物および微生物関連の物質. | |
標識アミノ酸 | labeled amino acid | 標識化されたアミノ酸. | |
微量元素 | trace elements | 生体組織中にきわめて微量しか存在しない無機元素.きわめて微量とは,通常,鉄の血清中濃度(1.2μg/ml)以下を指す.現在,必須微量元素は,鉄,ヨウ素,銅,亜鉛,マンガン,コバルト,モリブデン,セレン,クロムおよびスズ. | |
フェニルアラニン | phenylalanine | Phe | 必須アミノ酸の一つ.芳香族アミノ酸に属する. |
不感蒸泄 | insensible perspiration | 皮膚,呼吸器粘膜から液体として認められる前に水蒸気が蒸散すること. | |
不感蒸泄性水分喪失 | insensible water loss | 不感蒸泄による水分の喪失. | |
副腎皮質刺激ホルモン | adrenocorticotropic hormone |
ACTH | 下垂体前葉から分泌され,副腎皮質の栄養と発育を支配し,その機能活性を高めるホルモン. |
ぶどう糖負荷試験 | glucose torelance test | GTT | ぶどう糖75gの経口摂取に続いて,空腹時血糖が即座に上昇し,次いで,2時間以内に正常に戻る.糖尿病患者では,血糖増加がより大きく,通常,正常への復帰が遅れる. |
ぶどう糖輸液 | dextrose solution | 右旋性の単糖類(ヘキソース)であるグルコースを主成分とする輸液製剤. | |
不飽和脂肪酸 | unsaturated fatty acid | 一つ以上の二重結合または三重結合を含む炭素鎖を持つ脂肪酸. | |
プラスマフェレーシス | plasmapheresis | 全血液を生体から取り出し,遠心沈殿により分離された細胞成分を生理食塩水または他の代用血漿に懸濁して再びその生体に戻すこと.現在の血液浄化法ではほとんど行われていない. | |
フルクトース | fructose | 果糖.生理学的に重要なケトヘキソースで,しょ糖の加水分解産物.インスリン欠損時には代謝されてグリコーゲンに変わる. | |
分圧 | partial pressure | 混合気体中の一つの構成要素によって示される圧.通常,mmHgあるいはTorrで表す.液体中に溶解している気体の場合は,溶解気体と平衡状態にある気体の圧がその分圧である.PCO2,PO2などのように大文字のPの後に化学種を示し添字を付ける. | |
分解産物 | degradation product | 化学物質の変化によって生じた単純な物質. | |
分岐鎖アミノ酸 | branched chain amino acid |
BCAA | アミノ酸の炭素骨格が直鎖ではなく分岐しているアミノ酸で,ロイシン,イソロイシン,バリンがこれに含まれる. |
ヘキソースリン酸回路 | hexose monophosphate pathway | グルコース6-リン酸がリボース5-リン酸に酸化される過程.生じたNADPH,五炭糖とその誘導体は,ATP,CoA,NAD + ,FAD,RNAおよびDNAの構成成分となる.これらの反応は細胞質で生ずる. | |
ヘパリン負荷後血漿 DOA |
postheparin plasma diamine oxidase activity |
主に小腸粘膜の絨毛上部に分布し,1~2日で代謝回転しているdiamine oxidase(DO)は,ヘパリン静注後に血中に移行するので,ヘパリン負荷した後に採血した血漿中DO活性を測定することによって腸粘膜のintegrityを定量的に評価しようとするもの. | |
ペプチド | peptide | 2分子以上のアミノ酸からなる化合物. | |
ペントース燐酸経路 | pentose shunt | ヘキソースリン酸回路と同じ. | |
防御機構 | defense mechansim | 微生物の宿主内侵入あるいは宿主内増殖に対して個体を守る機序で,特異的な免疫機構の他に皮膚・粘膜の物理的バリアー,好中球・単球・マクロファージなどの食細胞,補体などによる非特異的な防御機構がある. | |
芳香族アミノ酸 | aromatic amino acids | AAA | 側鎖にベンゼン等の環式化合物を含むアミノ酸.フェニルアラニン,チロシン,トリプトファン. |
飽和脂肪酸 | saturated fatty acid | 炭素原子間で不飽和結合を持たない炭素鎖を有する脂肪酸.これ以上水素と結合できないため飽和と呼ばれる. | |
補液 | fluid replacement | 主に脱水の治療目的で,胃腸管または肝を通過する以外の方法によって水分を生体内に投与すること. | |
補体 | complement | 正常血清中に存在する20種類の蛋白群の総称で,抗体の溶菌,溶血や,白血球の遊走,貪食などの際に補助的因子として作用するもの. | |
補体結合 | complement fixation | 抗原・抗体・補体複合物の形成. | |
補体結合試験 | complement fixation test |
抗原抗体系(第一反応系)に一定量の補体を加え,抗原・抗体・補体複合物が形成されるかどうかを,あとから血球と溶血素(第二反応系,溶血系)を加え,溶血反応での有無で判定する.すなわち,第一反応系で複合物が形成され補体が消費されているならば,溶血反応は起こらない.この反応は,Wassermann反応やウイルスの血清学的診断に用いられる. | |
補体結合抗体 | complement fixing antibody |
抗原・抗体・補体複合物の形成における抗体. | |
補体結合反応 | complement fixation reaction |
補体結合試験と同じ. | |
ホメオスタシス | homeostasis | 種々の機能や体液,組織の化学的組成についての身体の平衡状態およびこのような身体的平衡が維持される過程. | |
ホルモン | hormone | 生体を調節・統御することを唯一の目的として作られ,血流によって運ばれた標的臓器に作用する有機化合物. |