プライバシー保護について
3.症例報告を含む医学論文及び学会研究会発表における患者プライバシー保護に関する指針
医療を実施するに際して患者のプライバシー保護は医療者に求められる重要な責務である。一方、医学研究において症例報告は医学・医療の進歩に貢献してきており、国民の健康、福祉の向上に重要な役割を果たしている。医学論文あるいは学会・研究会において発表される症例報告では、特定の患者の疾患や治療内容に関する情報が記載されることが多い。その際、プライバシー保護に配慮し、患者が特定されないよう留意しなければならない。
以下は外科関連学会協議会において採択された、症例報告を含む医学論文・学会研究会における学術発表においての患者プライバシー保護に関する指針である。
患者個人の特定可能な氏名、入院番号、イニシャルまたは「呼び名」は記載しない。
患者の住所は記載しない。
但し、疾患の発生場所が病態等に関与する場合は区域までに限定して記載することを可とする(神奈川県、横浜市など)。
日付は、臨床経過を知る上で必要となることが多いので、個人が特定できないと判断される場合は年月までを記載してよい。
他の情報と診療科名を照合することにより患者が特定され得る場合、診療科名は記載しない。
既に他院などで診断・治療を受けている場合、その施設名ならびに所在地を記載しない。
但し、救急医療などで搬送元の記載が不可欠の場合はこの限りではない。
顔写真を提示する際には目を隠す.眼疾患の場合は、顔全体が分からないよう眼球のみ拡大写真とする。
症例を特定できる生検、剖検、画像情報に含まれる番号などは削除する。
以上の配慮をしても個人が特定化される可能性のある場合は、発表に関する同意を患者自身(または遺族か代理人、小児では保護者)から得るか、倫理委員会の承認を得る。
遺伝性疾患やヒトゲノム・遺伝子解析を伴う症例報告では「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省、厚生労働省及び経済産業省)(平成13年3月29日)による規定を遵守する。
平成16年4月6日
外科関連学会協議会 加盟学会
- 日本外科学会
- 日本気管食道科学会
- 日本救急医学会
- 日本胸部外科学会
- 日本形成外科学会
- 日本呼吸器外科学会
- 日本消化器外科学会
- 日本小児外科学会
- 日本心臓血管外科学会
- 日本大腸肛門病学会
- 日本内分泌外科学会
- 日本麻酔科学会
本指針に賛同している学会
- 日本肝胆膵外科学会
- 日本血管外科学会
- 日本喉頭科学会
- 日本呼吸器内視鏡学会
- 日本乳癌学会
- 日本腹部救急医学会
- 日本胃癌学会(平成16年6月4日付)
- 日本食道学会(平成16年6月24日付)
- 日本整形外科学会(平成16年9月21日付)
- 日本手の外科学会(平成17年8月1日付)
- 日本整形外科スポーツ医学会(平成17年8月20日付)
- 日本外傷学会(平成17年9月7日付)
- 日本熱傷学会・日本美容皮膚科学会(共に平成17年12月14日付)
- 日本頭蓋顎顔面外科学会(平成17年12月16日付)
- 日本股関節学会(平成17年12月19日付)
- 日本皮膚アレルギー学会(平成18年1月5日付)
- 日本肘関節学会(平成18年1月27日付)
- 日本皮膚科学会西部支部(平成18年3月24日付)
- 中部日本整形外科災害外科学会(平成18年5月15日付)
- 日本胆道学会(平成18年7月21日付)
- 日本関節鏡学会(平成18年8月3日付)
- 東日本整形災害外科学会(平成18年8月25日付)