用語解説集の発行によせて


日本外科代謝栄養学会
理事長 平 澤 博 之

この度、本学会用語委員会の諸先生方の多大なご尽力により、「侵襲に対する生体反応、代謝・栄養−用語解説集」を発行する運びとなりました。ここに至るまでの、小林展章委員長をはじめとする現用語委員の諸先生方は勿論のこと、遠藤昌夫先生をはじめとする前委員の先生方の努力に深い敬意と謝意を表するものであります。学問の発展のためには同じ領域の研究者と情報を交換し、真摯な態度で討論を重ねることが極めて重要であります。またそのような情報交換、討論のためには共通の言語が不可欠です。あるtechnical termを用いていてもその意味するところが異なっていては情報を共有することも出来ませんし、討議も出来ません。その意味でこの用語集が大きな役を果たしてくれることを期待しております。

本学会は従来の周術期を中心とした代謝・栄養管理に加えて、侵襲に対する生体反応につき検討することを学会の目的に掲げることになりました。それに伴い、これまで多くの本学会会員にとってあまり耳慣れない用語が学術集会で飛び交うようになり、機関誌上で目に付くようになりました。本用語集の大きな特徴のひとつは、そのような用語を含めて、最近話題となっている用語を取り上げ、それに詳しいまた最新の解説を加えたことであります。Bacterial Translocation、Apoptosisの項目など読んでいて興味津々でした。このような解説付きの「話題の用語」ばかりでなく、第2部として代謝・栄養・侵襲に関する重要な用語を取り上げそれにも簡単な解説が加えられています。そして巻末には重要な数式なども記載してあります。そのようなことから本用語解説集は頁数はそれほど多くないにしても、正にencyclopediaの趣があります。

本用語解説集が本学会会員は勿論のこと、本学会が取り扱う研究テーマに少しでも興味がある多くの人々の役に少しでも立ち、活用されることを期待しています。
  2004年5月